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古井戸の底には何があり

作者: 葵陽

この作品はフィクションであり、専門用語は創作です。信じないで!


「恭子はお見合い結婚したそうです。」「さて、一番年上は何歳でしょう。」「ブーケトスもそんな感じ。」「いっしょに食事をするだけの簡単なお仕事です。」「マグロ係」「七つまでは神のうち」「店長、シフト変更してください。」「たぬきとどくだみ」「むじなとあしたば」「不思議な道具なんかより、あのあおいねこちゃんがほしいと思ったことはないか。」「職業:家政婦」「人見知りだっていいじゃない」「メンズPコート/税込13,200円」「男はどこへ消えたのか」「初乃は夢を見ない」「権助、与平、兵吾」の続きです。



お読みいただければ、幸いです

シャーマン、シビュラ、巫女、イタコ。

神託を受けるものには様々な呼び名がある、それこそ国や文化、宗教の数ほどあるのだろう。

その行為の信憑についてはあえて言及しないが

信心深いことを、悪とは思わない。


信じることで救われる命は、ある。


かの救国の英雄、は天使の声を聞いたというが

それもまた、神託なのだろう。

もっとも、科学技術の発達した現代では病気だったという意見も出て来てしまったのだが。




紫煙がフカフカと、空に立ち上って消えた。

紙巻きたばこを吸っている、その男はカンカン帽を左手に持ち浴衣に紋付きを羽織っていた。

まるで映画の中のようだ。男の見目も麗しく、より一層現実味を失わせていた。


初乃はまた、夢を見ていた。


ヨーロッパの街並みも、無人の家々から立ち上る湯気も以前と何の変わりもないが「あの男」は、変わっている。

前までは、土煙で汚れたワイシャツにジーパンという出で立ちだったのだ。

あそこまで「日本人」という格好をされると、日系とは言えまい。


男は真っ直ぐと、初乃を見ている。

今度初乃は、今世の姿だった。

初乃と同じ黒い髪に黒い瞳をしていたけれど、その瞳に輝きはなく。まるで捨て置かれた古井戸のように、底がないような真っ黒だった。


そして初乃はまた、声が出ないことに気づく。

「またか」と思いながら、喉に手をやった。


「聴こえているか。」

男は煙草をくわえながら、右手で右耳を指す。


声は出ないが、耳は聴こえている。

煙草臭さを感じないので、嗅覚は多分ない。

初乃はおずおずと首肯した。

それを見て男はまた、口を開く。


「また目が覚める前に言っておくが、おまえ」




瞬間にカタン、と身体が揺れた。


汽車が駅に着いたのだろう。

初乃は目を開く。


あともう少し寝ていたとしたら、男が何者か分かったのだろうか。自身の、(かんなぎ)としての血を信ずるのであればアレは「神様」という類いのものなのだろうか。


正直、自分はそんなに信心深くはない。前世であっても受験の際に神仏へ祈る程度だった。


しかしながら毎度、私の夢は何故途中で切れてしまうのだろうか。有料テレビのようだ。


「姉様、お起きになられましたか?」


とろとろと、微睡む意識で目の前に映るイケメンが迎えに来てくれた自分の弟、一佐(かずさ)であることに気づくのに数分かかった。


定期更新、2018最初です。


お読み頂きまして、ありがとうございました。

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