序章 僕はニートオタク
ふと、目を開ける。
天井に貼られているのは僕の愛している鉄道少女トレコちゃんのポスター。僕はぶよぶよ太ってしまった重い上体を起こした。(高校生の時はスリムだったのに。)そんなことを、考えつつふと近くに落ちているスマホに目を移すとにはLOSEの四文字。
「あぁ、寝落ちでレートが……」
誰もいないのだが僕はそう呟いた。今日はなにをしようか。答えがでるまでそこまで時間はかからなかった。そして思いつきのようにこう言った。
「アキバでトレコちゃんのポスターを買おう」
別に今日が祝日ではない。僕にとっては毎日が日曜日である。そう世間の就職氷河期という事実から目を背けた、ニートである。年齢は25歳。性別オス。名前は新斗男太そんなごく一般的なニートである。
働こうという気持ちがないわけでもない。ただ、履歴書とか書くのが面倒くさいだけである。
そんなこんなで僕は働くことを諦めたニートである。
僕はまず秋葉に行くための正装に着替える。頭にバンダナを巻き、大きめのリュックサックを背負う。典型的なオタクの服装である。
「いってくるよ!トレコちゃん!!」
僕は声を大にしていった。そしていつものようにドアを開けた。
そこにいたのはスーツ姿の男が三人。そしてその中の一人が口を開いた。
「ようこそ。株式会社チャンクへ。それでは面接を始めます」