警察サイド
警察が用意した車が、いよいよ除雪作業が終わりかけだった。
「もうそろそろですかね? 警部」
作業を見ていた遠藤が菅原に話しかける。菅原は事件のことを考え、物思いにふけっていた。遠藤の話し声も聞こえてこず、遠藤は繰り返し大声で言う。
「あっ……ああ––––」
菅原は適当に答え、再び自分の世界へと突入した。
「考え事をすると周りの声が聞こえなくなる癖、やめたほうがいいですよ。って、これも聞こえてないんでしょうけどね」
遠藤は自分の話に自分でオチをつけた。遠藤と菅原はよく事件が起きた時行動を共にしているいわば相棒だった。遠藤はまた刑事で、警部である菅原のことを見ながら勉強していた。そんな遠藤だから菅原のこの癖もよくわかっている。こういう時はよく何か重大なことが起こっている証拠だった。
––––住民の話によれば、何か大きな音が聞こえた後地崩れが起きたと証言していた……それは恐らく爆弾か何かだろう。つまり、そこまでして我々を引き止めるということは殺人事件はまだまだ続くと解釈できる。それに、本当に持ってきた爆弾はそれだけなのだろうか? もしかすると……爆弾の残りなどがありそれで犯人は自殺をしたりなど……。
菅原の推測は悪い方向ばかり入っていった。しかし、そういう時の菅原の読みは大体当たっていたのだった。
––––警視庁からきているという刑事に、今は全てを任せるしかない。




