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仙人伝説殺人事件  作者: ノース
事件編
13/19

アリバイ

なっ––––。

このおぞましい現場に、周りが凍りついた。脇田はナイフで胸を刺され、顔にも何箇所も傷がついていたのだ。確かめるまでもなく脇田は死亡していた。

「くそッ!」

木下は悔しさから壁を殴った。自分がもっとしっかりしていれば死なずに済んだかもしれなかったからだ。

––––俺の前で二人も殺しやがって……。

木下の目には犯人に対する憎悪がこみ上げる。それは殺したいなどというものではなく、絶対に許さないといったものだ。現場はグロテスクで、つい目を背けたくなるが捜査をしないわけにはいかない。昨日と同じで容疑者を部屋に戻し一人捜査を始める。木下は遺体の体温を確認する。まだ身体は暖かく、血も乾ききっていないことから数分前に殺されたことが伺える。顔には刃物で何回も切られている。生活反応があることから生きている時に斬りつけられたのだろう。よほど恨みがあったのか––––。手に血が付いていることから顔を切られた時に反射的に触ったと思われる。切り傷から鼻や頬を切られている。そして腹に刺された跡があり、トドメに胸だった。恐らく最初に顔に斬りつけて怯ませた時に腹をさし、動けなくさせて胸を刺して絶命させたのだろうということはすぐにわかった。

想像したら気持ち悪くなる。ジェイソンは相当被害者の二人を恨んでいるようだった。一人目は毒による殺人、二人目でメッタ刺しだ。こんなに刺したら血が大量に出たのではないだろうか? 恐らくジェイソンの服にもついているはず––––。

ん?

遺体を調べていると、血痕が不自然な形をしているものがあった。まるでそこに何かが置いてあったかのような。部屋はスッキリしていて荒らされた形跡などはなかった。遺体以外、部屋になにも置いていないから捜査の仕様がない。

「なんだこれ」

遺体のそばに白い粉が落ちていた。写真でそれを撮り、指でその粉をすくう。もしかしたら麻薬かもしれない。しかし、それはすぐに杞憂だとわかった。小麦粉だったのだ。

––––料理で使う小麦粉も無くなっちゃってね。

ふと小麦粉を見て昨日中居と話していた内容を思い出した。今回の事件と何か関係があるのだろうか? 一通り遺体を調べ、木下は現場保存のために中に誰も入らないように言った。取り調べのやり直しをしようと思ったが、脇田の悲鳴が聞こえた時木下はすぐ容疑者を集めてる部屋に行ったが外に出ている者など一人もいなかった。全員にアリバイがあるということだ。

一体……誰がこんなことを。

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