第二の殺人
「多田野! 多田野! 多田野!」
木下は大慌てで部屋に戻り、寝ている多田野を無理やり揺すって起こした。
「なんだよ……もうちょっと寝かせろよ」
「解けたんだ! 犯人が仕掛けた密室が!」
徹夜明けだが、そんな疲れなどすぐに吹き飛んだ。木下の言葉を聞き、多田野は慌てて起きた。
「なにっ! 本当か⁉︎」
「ああ! 間違いない! 念のためさっきウィキで調べたんだ! ついに解いたんだぁ!」
木下の目は喜びに満ち満ちていて少年のような目をしていた。しかし、このトリックは少しの知識があれば誰にでもできる。決定的な証拠がなかった。それに、トリックは解けたが犯人はまだ誰かわからなかった。しかし、トリックが解けただけでも一歩前進だった。
その時だった––––。
「うわあああぁぁぁあぁああぁぁぁっ」
どこからか男の悲鳴が轟いた。それを聞き、木下はテレビ局のスタッフ達が休んでいる部屋に行く。
「皆さん! 全員いますか!」
念のため容疑者を一つの部屋に集めておいて正解だった。容疑者は誰もいなくなっていない。この場にいる者は––––。
「ディレクターは?」
「ていうか今の悲鳴ディレクターなんじゃ……」
大野がポツリとつぶやき、青木が言った。脇田のことを思い出し、木下は慌てて離れに向かう。途中驚いて固まっていた中居を捕まえる。
「離れに行く近道ってありますか!」
「それなら女湯の露天風呂の出口を使えばすぐですが今は––––」
木下は「ありがとう」と言い女湯に向かい、全速力で中に入った。今が準備中だったのが幸いだった。露天風呂に行くと、確かに奥にドアのようなものが見える。木下は問答無用で湯に入ろうとする。
「だめです。この時期の露天風呂の準備の時は清掃のため湯の温度を最大まで上げているんです! そのまま入ったらゆでダコになります!」
息を切らしながら後を追っていた中居が言う。しかし、時すでに遅し––––。
「アッチー!」
木下は足首を入れていたのだった。その時、なんだか足にドロっとした感触が伝わった。
「くそッ!」
木下は玄関を出て離れに行く方法に変える。急がば回れだ。
「キャアッ」
全員全速力で玄関に行こうとすると久保が派手に前のめりに倒れた。そして苦しそうに足を触っている。
「どうしました!」
木下は久保の元に駆け寄る。
「足……やっちゃいました」
手をどかすと、確かに足が赤く腫れていた。
「歩けますか?」
「はい––––。でも、満足に走れません。皆さんで先に行ってください」
「わかりました」
木下達は久保を残し、離れに向かった。昨日脇田を追いかけた時は感じなかったが、玄関から離れまでは遠くて走っても十分ほどかかる。離れに着き、脇田が篭っていた部屋に行った。ノブを回すと、鍵が空いていてドアを開けると胸を刺され床を血で染めていた脇田の遺体があった。




