入団
サクマ「おいアリナ。レンのことなんだが」
アリナ「なんだ?」
サクマ「あいつ…もしかして、力側の人間じゃないのか?」
アリナ「はぁ?なんだそれ。力側って何の話だ?」
サクマ「おいおい。お前それでも学校の先生かよ…いや、あの話は有名ではないのか…?」
アリナ「いや、ぼかすなよ。教えろよ。」
サクマ「えっとだな。魔術が最近研究が進んでるってのはわかってるよな?」
アリナ「さっきお前がどや顔で語ってたやつな」
サクマ「どや顔て…いや、そうなんだけど、研究が進むまでは、オカルトの類だと思われてたわけだが…なんで研究が進んだと思う?オカルトなんて放っておいていいだろ?」
アリナ「んー、物好きが集まったんじゃないの?」
サクマ「いや違う。オカルトでも、すがりたくなったんだよ」
アリナ「はぁ」
サクマ「研究が進むまでは、力側の人間がこの世を支配してたんだ。力側ってのは、魔術を使えない人間なんだが、こいつらは身体能力が異常に高かったらしい、確か文献がっと…あったあった。えーっとどれどれ、『世界は力が支配していた。それに対抗するために、魔術が生まれた。そして、力と魔術は長い間戦争を続けていた。しかしある日、自らを神と名乗る圧倒的な強さを誇る者が現れた。その神に対抗すべく力と魔術の連合軍が作られ、見事神を倒し。力と魔術は和解し、世界に平和が訪れた。』だとよ。」
アリナ「へー。で、なんでレンがその、力側の人間だと思ったんだ?」
サクマ「あいつのコア、おかしいんだよ。」
アリナ「おかしい?何が」
サクマ「普通のコアはなら、コアから魔力が分散するように魔力の流れがあり、そのまま外に流れ出ていく。つまり。コアはかなり独立した器官ともいえる。しかし、あいつのコアからの魔力の流れは、一度全て心臓に行きつき、血管を通じて全身に魔力が行きわたり、そしてコアに戻ってくる。つまり、コアは独立した存在ではなく、身体に従属した存在。さらに、魔力は循環している。」
アリナ「…つまり?」
サクマ「あいつは魔力を外に出すことができない。」
アリナ「ありゃま…」
サクマ「ただ、あいつが魔力のことを意識するようになれば、体の中でならば魔術を使うことができる。」
アリナ「ほう」
サクマ「それが力側の最大の武器、肉体強化だ。」
アリナ「それって強いの?」
サクマ「考えてみろ。えぐいぞ。俺たちの魔本による魔術なんて多分一切効かないぞ。というか唱える間もなく間合い詰められてワンパンだな。」
アリナ「ひぇ…最強じゃん」
サクマ「だから昔は苦労したんだろうよ。神と名乗る存在に感謝だな。じゃないと今でもずっと力側の人間に支配されてただろうよ」
アリナ「確かに…。でも、レンはそれでいいのか?」
サクマ「というと?」
アリナ「本来の力に気づけば、もっと生きやすい世の中になるだろうに」
サクマ「力があれば生きやすいとは限らないからな。ただもし力を求める時が来たら、自ずと気づくだろうよ。力側の人間の血が流れてるんだから。」
アリナ「文字通り、血が流れてるって感じだな。あいつの血を飲んだら、魔力が回復したりするんじゃねぇの?」
サクマ「なるほど…いや…男の血を飲む趣味はないよ?俺。女の血なら喜んで飲むけど」
アリナ「そんなんだからあんた、女と付き合えないんだよ」
サクマ「なんだその言い方。まるで男と付き合ったことがあるみたいな」
アリナ「いや、そっちじゃねぇだろ…。」
?「団員NO.1セツナ=クロニクル、ただいま戻ったぜぇ!」
?「団員NO.2マルル=ロータス、ただいま戻ったでしゅ!」
サクマ「お前ら、毎回それ言わないと入れねーのか」
セツナ「いやいや、これがないと始まらないぜぇ」
マルル「そうでしゅよぉ…サクマしゃんも、団員NO欲しいんじゃないでしゅか?」
サクマ「いらんわ」
セツナ「ってかさっきまで何話してたんだぜぇ?」
マルル「こしょこしょと…浮気でしゅか?」
アリナ「は?殺されたいか?誰がこんなホモ吸血野郎と。」
サクマ「いや、ホモじゃねーから。血も吸わねーから。ってか言い出したのお前だろ」
シオン「お母さん、浮気って何~?」
アリナ「シオン、そんな言葉覚えちゃいけないよ。」
シオン「はーい」
?「あー、今日もつかれた。だりぃ。帰りてぇ」
サクマ「お、リリィか」
セツナ「貴様!名を名乗れぜぇ!」
リリィ「は…はぁ。えーっと、団員NO…なんだっけ?」
シオン「リリィのNOは3だよ!」
リリィ「そうだったそうだった。団員NO3.リリィ=グランディ」
?「そして私が!団員NO.6ユーナ=レイムーンよ!」
マルル「ユーナも帰ってきたでしゅか!」
サクマ「うわ…きつい…。」
リリィ「っすよね、ユーナ鬼きついっすよね…。」
ユーナ「リリィ!うるさい!」
リリィ「へいへい。」
サクマ「さて、全員揃ったところで、ちょっとお前らに話がある。」
他7人(セツナ・マルル・リリィ・シオン・マオ・ユーナ・アリナ)「何?」
サクマ「なんと、シオンとマオが作ったチラシで、入団希望者がきた」
マルル「マジでしゅか…?」
セツナ「あれでか…ぜぇ…。」
サクマ「さっきまで話してたんだが、別に悪い奴じゃなさそうだ。ただ一つ問題があってだな、そいつは魔術が使えない」
リリィ「わろた。芸人かよ」
サクマ「そう言ってやるな。彼には彼なりの事情がある。でだ、彼の入団についてどう思う。」
セツナ「そらもうOKだぜぇ」
マルル「いいんじゃないでしゅか?」
リリィ「人が増えたら、俺への依頼が減るしな。」
シオン「いいに決まってるよ!」
マオ「別にいいんじゃない?」
ユーナ「仲間は大いに越したことないよ!」
アリナ「シオンがいいなら私はいいよ」
サクマ「だってよ、よかったな、レン」
他7人「!?」
レン「え、気づいてたんですか。」
サクマ「そりゃそうだろ。明日の飯で困ってるのに、解決せずに帰るわけないからな。俺以外のやつも気づいていたと思うが…気づいてたよな?」
セツナ「あ…当たり前だ…ぜぇ」
サクマ「…大丈夫か?この魔術結社…。まぁいい、レン、お前今日、ここで飯食ってきな」
レン「いいんですか?」
サクマ「あぁ、お前は今日から団員NO.7レン=オルグライトだ。いいな?」
レン「はい!」