入団(?)
レン「金がねぇ…。ん?なんだこれ…?『団員募集!あなたもマギルギルドの団員になりませんか?仕事は簡単、依頼された任務をこなすと報酬がもらえるよ!あなたの頑張り次第で億万長者になれちゃうかも!』…。怪しい…。」
友「でもお前、今金がないんだろ?」
レン「まぁ、明日の食事がないくらいにはお金がないな」
友「いやそれ、だいぶ金がないからな。俺たち高校生じゃバイトなんてほとんどできないんだから、ダメ元で行ってみろって。じゃないと本当に死んじまうぞ。」
レン「本音は?」
友「おもしろそうだから行ってほしい」
レン「お前も来い。」
友「やだよ、ひとりで行け」
レン「薄情者!」
友「なんとでも言え。絶対いけよ、絶対いくんだぞ、じゃあな」
レン「おい、ちょ、待て…。くそ…行ってみるか…。」
~?~
?「今日こそ新しい人来てくれるかなぁ」
?「別に私はどっちでもいいんだけど」
?「お前らが言ってる新しい人って何の話だ?」
?「えっとね、マギルギルドに新しい団員が来てくれるように、こんな宣伝をしたんだ!」
?「はぁ…。なんだこれ、怪しすぎだろ。そんなんで来るはずが…」
ガララララ
レン「す…すいません」
?「来た!」
?「来ちゃうのかよ…」
レン「えっと…マギルギルドってここで合ってますか?」
?「そうだよ!魔術結社・マギルギルドへようこそ!私は団員NO.4シオン=マーガレットだよ」
?「んっと…私は、団員NO.5マオ=レイムーンよ。あなたの名前は?」
レン「えっと…俺の名前はレン=オルグライト、団員NOは…いや、知らねぇ」
レン(なんで小学生みたいな女の子に絡まれてんだ俺…帰ろうかな…)
?「本当に来るやつがいたんだな…」
シオン「そんなこと言ったらだめでしょー!サクマおじちゃんもちゃんと自己紹介して!」
サクマ「へいへい。えー、名前はサクマ=カナタ。あとおじちゃんじゃねぇから。これでも20代だから」
レン(20代なんだ…)
レン「サクマ?さんの団員NOはなんですか?」
サクマ「そんなもんねーよ。あいつらが勝手に名乗ってるだけだ。」
マオ「本当は仲間に入れてほしいくせに」
シオン「くせにー!」
サクマ「大丈夫だ。本当に大丈夫だ。」
レン(この人大変なんだな…)
サクマ「で、レンだっけか?ちょっとこっちにこい。お前ら二人はちょっとあっちにいってなさい」
マオ&シオン「えー」
サクマ「はよいけ」
マオ&シオン「はーい」トテトテトテ
レン「えっと、なんでしょうか?」
サクマ「いやーなんでしょうかじゃないでしょー。なんで来ちゃったの?君」
レン「えぇ…帰った方がいいですか?」
サクマ「あ、いや、そういうわけではなくてだな…よく来たなこんなところに」
レン「いや…億万長者になれるって書いてたんで…」
サクマ「いやいやいや、なれるわけないだろ」
レン「で…ですよねー。まぁ…あれなんですよ、お金に困ってまして…」
サクマ「というと?」
レン「いや、簡単に言えば、明日の食事もままならないくらいお金に困ってるんですよ…」
サクマ「親は?」
レン「あぁ、両親ですか。両親は俺が幼いころに死んでるらしいです。」
サクマ「らしいってお前、えらい他人事だな」
レン「あー、確かにそうですね…。でも仕方ないんですよ、俺、幼少期の記憶がないんです。小学生の低学年くらいより前の記憶がぽっかりと」
サクマ「いや、俺も小学生のころの記憶はほとんどないけど、それとこれとは話が別だろ」
レン「記憶喪失ってやつなんですかね、文字通りぽっかりと記憶がないんすよ。」
サクマ「…大変だなお前も。今はどうやって暮らしてるんだ?」
レン「えっと、一応一人暮らししてます。保険とか奨学金とかでぎりぎり高校には通えてますけど…」
サクマ「よく高校なんぞ通えたな。もし俺だったら中卒で仕事探すぞ」
レン「いや、俺もそう思ったんですけど、中学の先生が絶対高校には行っとけっていうもんですから…」
サクマ「熱い先生もいたもんだな。」
レン「いやほんと、激熱でしたよ。女なのにすげー気が強いし…」
サクマ「それどっかで聞いたことある気が…」
?「レン!?なんでお前がこんなところにいるんだよ!」
レン「そうそう、こんな感じ…って、え?」
サクマ「中学の教師してるって聞いてたけど…やっぱりアリナか…」
レン「なんでマーガレット先生がここに…」
アリナ「それはこっちのセリフなんだが…」
サクマ「えっとなアリナ。こいつの名前はレン=オルグライト。金に困ってるらしくて、ここに来た。んで、この女はアリナ=マーガレット。さっきいたシオンの母親だ。」
レン「マーガレット先生、結婚してたんすね。」
アリナ「失礼だぞ元教え子。」
レン「すんません。お子さん可愛いですね」
アリナ「お前にはやらんぞ」
レン「年の差を考えてくださいよ全く。10歳近く違いますよ?」
アリナ「その年の差がどうでもよくなるくらい、シオンは可愛いからな」
レン「は…はぁ」
アリナ「まぁ、サクマ。こいつの説明は大丈夫だ。むしろお前よりよく知っている。でもレン、お前たぶんここじゃ生きていけないぞ?」
レン「え、なんでっすか」
アリナ「だってお前…魔術つかえねーじゃん」
サクマ「え、こいつ魔術つかえねーの?」
レン「え…はい…。一度使えたことないです」
サクマ「じゃあお前、億万長者どころか、一銭も稼げねーだろ」
レン「え、魔術が使えないとまずいんですか?」
サクマ「いや、クソダサい名前だけど、一応団体名見てー。魔術結社って書いてるよ、魔術って」
レン「いや、おふざけなのかと思ってまして」
アリナ「おふざけってお前、どんまいサクマ」
サクマ「いや、いいんだけどよ、笑うなアリナ」
アリナ「すまんすまん。」
レン「えっと…結局魔術結社マギルギルドってどういうところなんですか?」
サクマ「んー、簡単に言えば、依頼主から依頼された内容を達成すれば、依頼主から報酬がもらえるってわけ。ただ、依頼内容のほとんどが魔術がないとこなせないものばかりだ」
レン「なるほど。じゃあ魔術の使えない俺は、依頼なんてこなせないぞと」
サクマ「そゆこと」
レン「困りましたね…帰ります」
サクマ「え!?帰るの!?ここはやる気を見せて、どうにかしてここに居座るタイプの展開じゃないの!?」
レン「え…えぇ…。ほかにもっと割のいいバイト探そうかなと思いまして…」
サクマ「そ…そうか」
シオン「えー、レン君帰っちゃうのー?」
レン「うん、ごめんな。どうやらここにいても意味がないらしいんだ」
シオン「えー。やだ!さみしい!せっかく団員が増えると思ったのに!サクマおじちゃん、レン君のこといじめたんでしょ!」
サクマ「そんなことはない」
シオン「もー!レン君はマギルギルドに入るの!」
レン「え…えぇ…」
アリナ「レン」
レン「なんですか?マーガレット先生」
アリナ「お前、マギルギルドに入るよな?」
レン「え…ちょま」
アリナ「入る…よな?」
レン「…入ります」
シオン「やった!やったねマオ!」
マオ「別にどっちでもいいんじゃない?」
シオン「そんなこと言ってー、マオも嬉しいくせに!」
マオ「別に!魔術が使えないんじゃ、何するかわかんないけどね!」
シオン「魔術なんてこれから使えるようになればいいんだよ!」
アリナ「そうだぞ。サクマ、魔術を教えてやれ」
サクマ「ほら…結局俺じゃねぇか」
レン「お…お願いします。」