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裏野ハイツの心霊事情  作者: 人見絢音
1/3

─引っ越し─

夏のホラー2016作品です。ホラーを書くのは初めてです。

頑張りますので、よろしくお願いいたします。

裏野ハイツ──築三十年の木造ハイツ。少し古いが、お風呂もトイレもあるし、何より家賃四万九千円の安さが魅力的だ。

駅まで歩いて七分で、交通の便がいい。これなら少しくらい寝坊しても、講義に遅れることもない──ハズ。

そんな訳で、わたしは愛猫のユリと一緒に、この裏野ハイツに引っ越すことになった。貧乏学生のわたしにはピッタリで、何故今まで大学生が入室しなかったのか不思議に思った程だ。だって今夏休みだもん。

大学入学直前に何故一人暮らしを始めなかったのかというと、父が厳しい人で認めてくれなかったためだ。どうしても『一人暮らし』(いや猫もいるけど)というヤツをやってみたかったわたしは、父と大喧嘩をやらかした挙げ句、家出同然で家を飛び出したわけだ。

でもなんだかんだ仕送りは来てるし、結局父は優しい人だ。

「次はー裏野ー、裏野ー。次止まりますー」

電車内に運転手さんのアナウンスが響き、あわてて降りる準備をする。といっても、大きな荷物は引っ越し屋さんが持って来てくれる。

灼熱地獄の中を小走りに進む。暑いからなのか、もとからなのか、道行く人は多くない。

──にしても暑いな……。日焼け止めいっぱい塗ってきて良かった。

何度かお茶を飲みながら、旅行鞄と動物カゴを引きずる様にして進み続け約七分。ようやく新しい我が家についた。

気のせいだろうか、このハイツの周りだけやけに涼しい。ユリも気持ちよさそうにニャーとなく。

自室──203号室。程良く古びた部屋だ。

「ユリー、新しいお家だよ~」

中にはいると、もう大きい家具は指定しておいた場所に置いてあった。

リビングにはタンス、机(食事用)、椅子が2つ。それと、レンジと冷蔵庫、食器棚。マンガ用と小説・参考書用の2つの本棚も健在だ。

洋間には勉強机、服を入れるカラーボックス、ベッド。うん、ちゃんとパソコンも傷ついてない。

お気に入りのカーペットを敷き、ベッドを整えて本棚に本を。服を畳んで収納、食器棚に食器。……完璧だな。

ユリをカゴから出してやり、エサをやる。いつもなら大喜びなのに、口を付けようとしない。

「ユリ?どうしたの?」

わたしが名前を呼んでも反応しない。それどころか、部屋をぐるぐると回ったあと、お隣の部屋の方をみて唸り始めた。

そこは変哲のないただの壁で、ユリの嫌いなものなど無い。


──ねえ、知ってる?動物が何もないところに吠えたり、唸ったりし始めたら、そこには霊が居るんだよ。

 

子供の頃、友達に聞いた話を思い出して、鳥肌が立った。

その頃はさほど怖いとは思わなくて、「ウソー?!」などと面白がっていたはずなのに……。

さっきまであんなに暑かったのに……鳥肌がおさまらない。


いや、でも、まさかね。あり得ないって!変なこと思うからよけい怖くなるんだよ。


「さて……挨拶しにいこーっと」

わざと明るくいった言葉は、静寂に吸い込まれていった。

不安なまま、壁の前から動かないユリをおいて、わたしは部屋を出た。


 





  

 


次か次の次の回からホラー要素を増やしたいです。

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