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第二話 算数 問う
王位を継いだ若き者、神に対して敬虔なる者、偉大なる太陽神アメンの如き王、神の子孫、太陽が勝利を与えし者、太陽の息子、ツタンカーメン―永遠に生きよ、アメンに愛されし者―の治世第三年。
この年、アエトスの息子アエナスはアレキサンドロスの神官であった。
エジプト暦にして、ベレトの第一月第三日。
アエナスがツタンカーメン―永遠に生きよ、アメンに愛されし者―に問う。
「ツタンカーメン―永遠に生きよ、アメンに愛されし者―よ。ここに私が問うことをお許し下さり、その慈悲深きお言葉を賜りたく存じます」
「如何なることか。汝が問うを許す」
「ツタンカーメン―永遠に生きよ、アメンに愛されし者―よ。ここに畏れ多くも天空と太陽の神ホルス三柱が葡萄を持ち、猛々しき冥界の神アヌビス二柱が葡萄を持ちて集いたる時、それに依りて現れたる葡萄の理は、如何なるものに相成りますでしょうか」
(続く)