09.厚い隔たり
私は異質だ。
というのは、私が彼女たちの輪へと入っていくことができないから。
彼女たちは、いつも私を試すような真似をする。私は身構える。
彼女たちは、私だけを常に除け者にしてこようとする。私は睨む。
彼女たちは、私だけをずっと監視している。私も彼女たちを監視する。
私は、私は、そのことに耐えられない。
私にできることは、ここで蹲って災難が去るのを待つだけ。
私に構うのはもうやめてほしい。
触れずにそっとしておいてほしい。
そう思うことは無駄でしかない。彼女たちが私に構うことを辞めるはずはない。
あの子は異質だ。
というのは、あの子を私たちの輪の中に入れようと手を伸ばしているのに、
頑なにその手を取らない。
あの子は、私たちが近づくと少し嬉しそうにする。だから私たちは彼女にしきりに話しかける。
あの子は、話しかけるのを止めて立ち去ろうとすると、こちらを睨んでくる。
あの子は、私たちの方をずっと見ている。やっぱりこっちでお喋りしたいのかしら。
私たちは彼女に触れ合ってもいいのだろうか。
しかし、話しかけても返事はない。
そのくせ、離れると睨みつけてくる。あの子のことを考えると堂々巡りだ。
彼女と彼女たちを隔てる壁は大きい。




