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08.僕が僕でなくなるとき
僕には秘密がある。
それは、僕が、僕でなくなることがあるということだ。
僕の中には、"あいつ"がいる。
"あいつ"は突然出てきて、僕を押さえつける。
すると、僕は頭がぼやーっとしてきて、何も考えられなくなる。
そして、"あいつ"は僕に言うんだ。
「俺はお前だ。」と。
きたきた……
また、きてしまった。
この感じは、"あいつ"が来るときのいやな感じだ。
「お前はあいつらがにくくないのか? どうだ、にくいんだろう。
なら、おれに代われ。俺がお前に代わって、あいつらを黙らせてやる。」
「いやだよ。そんなこと思ってないよ。こわいよ。こっちにこないでよ。」
「いやだね。俺はお前だ。わかるんだよ。
お前はそう言っちゃあいるが、俺にやらせようとしてるんだろ。
だから、俺が出てきてるんだ。」
「そんなことないよ。ぼくはわるくない。」
「そうだ。お前は悪くない。なぜなら、俺はお前だからだ。俺はお前。言ってみろ。」
「僕はお前だ。」
「そう。俺はお前だ。」
「もう一回言ってみろ。俺はお前だ。」
「俺はお前だ。」
「……俺はお前だ。」
頭が真っ白になり、僕は俺になった。




