11.銀色の輝き
私は月だ。
常に地球を見ている。
私の顔は常に地球を向いている。
地球は、おもしろいやつだ。
地球は、人間というものたちをたくさん自身の体の上に飼っている。
私に、彼の体の上で起こっている喜劇を見せてくれる。
その様はとてもおもしろい。
見ているだけの私が思わず、微笑んでしまうくらいに。
喜劇が見れない夜、勝手に地球の体を照らしてまでそれを見たくなってしまう。
地球は、厳しいやつだ。
私に、彼が起こす試練とそれに翻弄される人間たちを見せる。
人間たちはそれでもめげず、試練に立ち向かっていく。
おもしろい。
なぜここまで必死になれるのか。
私には分からないからこそおもしろい。
地球はやさしいやつだ。
人間たちが生きていくために必要になる食べ物と水と酸素を用意した。
人間たちがより安全に生きていけるように、気温を整え、有害な宇宙線を防ぐオゾン層をつくった。
不思議だ。
確かに人間はおもしろい。
そこまでする必要はあるのか。
私は人間にどんどんのめりこんでいく。
そうして、こう思うようになった。
自分の下に人間を招きたいと。
そして、どのような反応をするか見てみたいと。
私は地球に相談した。
地球は見守るやつだ。
人間は、月に行ってみたいと思っているらしい。
だからといって、人間が月に行く手助けはしない。
見ているだけ。
もちろん邪魔もしない。
私は気になった。なぜ地球は人間を止めないのか。
自身の下にもどってこらにようになるかもしれないのに。
すると地球は言った。
俺は人間を信じている、と。
だから見守るだけらしい。
しばらくして。
人間が月に来た。
そのときの第一声は、やはり地球は青かった。
彼らは月に居座らず地球へと帰っていった。
地球の言うとおりになった。
あれからもたびたび地球から人間はやってくるが、すぐ帰っていく。
彼らは地球の住民なのだ。
私は今日も観察する。
人間たちを。
一日中。
夜になると自分で地球を照らしてまでも。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
元ネタは、
日本のバンド、L'Arc~en~Ciel(ラルクアンシエル)のアルバム、ray 。
もしよかったら聞いてみてください。
よく練られた歌詞と洗練されたメロディーがあなたを待っています。




