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2.

 コンコン

「渚! 開けろ」

 声も聞こえてくる。

 ドンドン

 窓を叩く力が大きくなってる。もう! 窓を壊す気? 慎一!!


 シャー

 カーテンを開けると向こう側には、もう一度窓を叩こうとグーの手を振りかざしてる慎一の姿があった。

 慎一は一瞬驚いた後、笑顔でグーの手を開いて、今度は両手で窓を開けろのジェスチャーに変えた。

 仕方ない……。

 ガチャ

 ガラガラ

 私は窓の鍵を開けて窓を開ける。慎一は私の部屋の窓のさらに向こうの家の自分の勉強机の上に乗ってこちらを見てる。

「なに? 窓壊れるでしょ? あんなに叩いてー? ええ? 」

 慎一は私の言葉などまるで聞いてないかのように、あっさり無視して窓と窓の隙間をヒョイと超えて来た。それ! 怖い! 今でも。私は体をよけて、思わず慎一が部屋に入れるスペースをあける。


 慎一は隣の家に住む一応一つ年上のお隣さんだ。年上なんだけど小学生になる前からよく遊んでいたので年上って感覚はまるでない。顔も幼い顔だからか余計にそう感じるのかもしれないけど。

 私の家と隣の家の間は狭く、なによりもこの窓だ。どういうつもりで建築したのか、向かい合わせに隣の家の窓がある。さらにはその窓の向こうに年が近い慎一の部屋の窓があることを、全く気にせず部屋を割り振った両親にも疑問がいっぱいになる。なんでこちらの部屋を弟の部屋にしなかったの? と。


 小学生の頃はさっきの慎一のように、慎一はよくうちに近道だと言って窓越しにやって来ていた。多分スリルもあって慎一が楽しんでいたんだと思う。狭いと言っても今でも十分に体が入る幅がある。見てるこっちは落ちるんじゃないかと毎回ヒヤヒヤしたものだ。

 そのうち私も慎一も年頃になって、慎一が私の部屋にくることも一緒に遊ぶこともなくなった。そして、それまでのレースのカーテンでは慎一の部屋も見えるし、私の部屋も慎一から丸見えなので、向こう側が見えないレースのカーテンを母に買ってもらった。窓を開ける事はよくあるがレースのカーテンは閉めたままだった。それなのに……。

 こんな風に慎一が私の部屋に入ってくるどころか、窓をノックするのでさえも久しぶり……何年ぶりだろうか……。


 部屋に私を押しのけるように入って来た慎一と私は私のベットの上いる。幼い頃とは違う。ドキドキするよ、この状況。

「慎一? なにしてるのよ!! 」

 問いかける私をことごとく無視して慎一は私をベットにそのまま押し倒した。そして、私を見つめて笑顔で問いかける。

「渚、今一人? 」

「え? ああ、うん。そうだけど! って……」

 答えてる間に慎一の顔が近づいてきた。そして続きの言葉は唇でふさがれる。私のファーストキスが!! あれ? ファーストキスって……そういえば慎一と昔に面白半分にしたような……。

 昔の記憶を思い返してる場合じゃない。抵抗もしない私が悪いんだけど、慎一は続きをしてるみたい。慎一の手が私の体を優しく撫でている。どうしよう。と、戸惑っていると、慎一の唇が離れて今度は私の首にキスをする。

「ん……フッ……あっ」

 ヤダ恥ずかしい。なのに声が思わず出てしまう。ダメ! 何してるの? 今度は慎一の手が私の制服を脱がそうとしている。

「慎一! なに? なにしてるの?」

 慎一の肩を思わずつかんでいた。その手を抵抗に変えて慎一の肩を押してみる。思ったよりもずっと軽く慎一の体は離れた。唇も。

 少しあっけない終わりだった。慎一は離れた後、少し私を見つめて、体を起こしてベットの上に座り込んだ。

 私も体を起こして制服のさっき慎一に開けられた制服のボタンを閉める。

「渚! 隙があり過ぎだぞ」

 隙って。え?

「なに? だからなにしてるのよ!?」

「なにって……発情?」

「なに……その、はつじょう?」

「そう俺もお年頃だからね」

 ニコニコ笑う笑顔は年上の男とは思えない可愛さだけど……発情って?

「そんなことで、窓から入ってくる? ってか、いちいち発情するたびに襲ってたら犯罪じゃない!」

「でも、渚さっき拒否してた?」

 してない……抵抗という抵抗じゃあなかった。自分でも驚くほど慎一を受け入れていた。

「し、してないけど……それは関係ない! 最初から私が抵抗しないってわかってたわけじゃないのに、そんなことするのが問題でしょ?」

 あれでは抵抗してた! とは言えない。それにしても襲われた後でも、発情という言葉と慎一が結びつかないよ。

「だって、渚が誘ったんだよ。ちらちら見せつけて」

「え? ちらちらって……窓から?」

「そう、この窓から」

 慎一はすぐそばの窓のレースのカーテンをシャット閉めて言う。えー! こっちからは全然見えないのにこのレースのカーテン。もしかして不良品?

「カーテン閉めてるのに?」

「窓を開けたら風でカーテンが揺れてその隙間からちらちら見えるんだよ」

 そういいながら慎一はレースのカーテンをヒラヒラと揺らす。

「本当にちらちらじゃない。慎一が窓を見過ぎなんじゃない?」

 こんな隙間しかない家と家の間でも、結構風が吹き抜ける。方角がそうなのか立地がそうなのか。いい風が吹くので冬場以外はよく開けっ放しでいる。その間に隙間から見てたの?

「俺の勉強机の位置を考えろよ。見ようとしなくても勉強中に見えるだろう?」

 確かに慎一の勉強机は窓側を向いて、つまり私の部屋の方を向いて置いてある。だけど、勉強を真面目にしてれば見えないと思うんだけど……。


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