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第2章-2

「ところで今日の同窓会って何人くらい来るの?」バスに揺られながら荒太が聞いた。

「後輩と先輩も結構来るから全部で35人」

「ひょえー」荒太は素っ頓狂な声を出した。「高校卒業して他所行った人も結構いるんだろ?それで35はすごいな。」

「みんなお前に会いたがってんだぞ。自覚ないとお前、地元じゃそれなりにホープなんだからな」

「アッハッハ」

「アッハッハじゃねえよ」インディーズシーンじゃすげえ人気になってんだろ?これでメジャーデビューでもしてみろ。今日だって『サインもらっとこうかな』とか言う奴、絶対いるぞ」

 弓道が出来なくなってから荒太は一層、音楽に打ち込むようになっていた。圭一―その頃には「圭一」と呼ぶようになっていた―と共にメンボサイトでリズム隊を探して4人組のバンドを結成した。バンド名は「エートス」にした。かと言ってこのバンドをパーマネントに続けるつもりはなかった。高校を卒業したら東京に行って音楽の専門学校に入る。そこで本格的にバンドを組んでプロを目指す。エートスはそれまでに経験と実力をつけるためのつなぎのつもりだった。実際、リズム隊のユラとカーキ―本名は最後まで教えてくれなかった―は完全趣味思考だったし普通に下手だった。

 それでも荒太のカリスマ性で地元ではなかなかの人気者になっていった。ライブもちゃんとしたライブハウスで出来るまでになっていた。もちろん荒太を動かす活力になっていたのは比奈子の事だった。事故があってからの比奈子は完全に自暴自棄に陥っていた。学校も休みがち―というか完全に不登校になり部屋に閉じこもるようになった。食事もままならず声を押し殺してすすり泣く声を家族は何度も聞いたという。

 そんな比奈子を元気づけたかった。自分までクヨクヨしてちゃだめだとそう思っていた。それでも比奈子は死んでしまって今度は荒太が自暴自棄になる番だった。学校へ行って帰ってきたら食べて寝るだけの生活が続いた。圭一は荒太がいつ戻ってきてもいいように自分がギターボーカルをやってバンドを継続してくれた。

 バンドには3ヶ月ほどで復帰した。ところがベースのユラとドラムのカーキは受験があるからと次のライブでラストにして欲しいと言い出した。荒太と圭一は渋々納得してかくしてエートスは感動の(?)ラストライブを開催した。荒太は考えた。さて、これからどうしたものか?


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