表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/90

秘密の協力者たち:親愛なる隣人の機転

藤原が、レイカに何か言葉をかけようとしたその時だった。 最初に具体的な行動を起こしたのは、意外にも七瀬みことだった。 彼女は、レイカの絶望的な表情を見て、そしてユウトが焦っている姿を見て、ふと閃いた。 (レイカさんの秘密は「貧乏」……であれば、その「貧乏」を、別の形で肯定するしかない!) みことは、藤原とレイカの元へと小走りで駆け寄った。 「あら、レイカさん!こんなところで何をしているの?」 彼女は、完璧な笑顔を浮かべ、レイカの腕を掴んだ。 「ええと、藤原くんも。まさか、こんな場所で会うなんて、奇遇ね」 そして、レイカの手に提げられたビニール袋を一瞥すると、すぐに笑顔で言った。 「レイカさんったら、また隠れて『庶民の味』を楽しんでいたのね!実は、私も最近、こういうスーパーのお惣菜にハマっちゃって。とっても新鮮で、美味しいのよね!」 みことは、そう言うと、持っていたブランドバッグの中から、わざとらしくスーパーのチラシを取り出し、笑顔で藤原に見せた。 「ねえ、藤原くんも、今度一緒にスーパーで『宝探し』してみない?とってもエキサイティングよ!」 彼女は、レイカの「貧乏」を、「庶民の味」という新しい「流行」にすり替えることで、藤原の疑惑をそらそうとしたのだ。藤原は、まさかの七瀬みことの発言に、目を丸くし、困惑していた。

続いて動いたのは、桜井ゆづきだった。 彼女は、藤原がスマホを手にしているのを見て、事態を把握した。みことの巧みな言葉の裏で、ゆづきはすぐにユウトに近づいた。 「月城くん、彼が使っている地図アプリ、私に任せて」 ゆづきは、そう言うと、藤原が油断している隙に、そっと彼のスマホに触れた。そして、かつて芸能界で培った「情報操作」のスキルを最大限に活用し、地図アプリの履歴と、レイカの住所が登録された情報を、瞬時に消去した。まるで、見えない魔法のように。そして、彼のスマホに、近隣の高級レストランの住所をこっそり登録した。

その時、一ノ瀬すみれが、その状況を冷静に判断し、藤原への「追撃」を開始した。 「藤原くん。なぜ、この場所にいたのか、説明していただきたいわ。個人的な情報への不当な詮索は、校則に触れる可能性がある」 すみれは、普段の冷静な才女の口調で、しかしその瞳には鋭い光を宿らせ、藤原に迫った。彼女は、ユウトの観察眼から、藤原がレイカに好意を抱いていることを察しており、その感情を利用して、彼の行動を「ストーカー行為」として牽制しようとしたのだ。 藤原は、みことの予測不能な発言と、すみれの冷静な追及に、動揺を隠せない。 「え、あ、いや、僕はその……!」

そして、御影ことねが、決定的な行動に出た。 彼女は、みこと、すみれ、ゆづきの連携プレーを見て、ユウトがレイカの秘密を守るために奔走していることを理解した。風紀委員長としての彼女の使命感は、友人を守るために燃え上がっていた。 「藤原くん、生徒のプライベートを詮索する行為は、風紀委員として見過ごすことはできません。もし、この件について、今後も不穏な動きが見られるようであれば、しかるべき対応を取らせていただきます」 ことねは、有無を言わせぬ厳しい口調で藤原に告げた。彼女の眼光は鋭く、藤原は恐怖に顔を歪めた。彼は、学園の秩序を司る風紀委員長であることねに逆らえるはずもない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ