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秘密の協力者たち:厳格なる盟友の誕生

最初に具体的な行動を起こしたのは、一ノ瀬すみれだった。 彼女は、学内SNSの騒動の際に得た経験から、この件にも「第三者の意図」が絡んでいると直感した。 「月城くん。この抜き打ち検査は、単なる偶然ではない。おそらく、君を狙う者が、御影委員長の秘密を利用しようとしている」 すみれは、ユウトに目を向け、冷静に告げた。 「であれば、我々が取るべき行動は、『メルティリボン』を、一時的に『校則に違反していない店舗』にすることだ」 ユウトは、その言葉にハッとした。

その時、七瀬みことが動いた。彼女は、ユウトとすみれの会話を聞き、そして自身の文化祭での危機を思い出した。みことにとって、ことねは頼りになる友であり、学園の秩序を守る存在だった。 (ことねさんのために、私ができること……) みことは、すぐに自分のスマホを取り出すと、メイドカフェ『メルティリボン』の公式サイトとSNSアカウントを確認した。そして、彼女は、自身のSNSフォロワー数を利用した、大胆な作戦を思いついた。 「すみれさん、月城くん。私に任せてください。私が、『メルティリボン』を『生徒が安心して利用できる健全なカフェ』にして見せます」 彼女は、そう言うと、自身のSNSで『メルティリボン』の「宣伝」を始めた。 「文化祭の準備で疲れたから、メイドカフェ『メルティリボン』で癒されてきました♪可愛らしいメイドさんがいて、とってもリラックスできました!放課後の休憩におすすめです♡」 彼女は、普段の完璧な笑顔の写真と共に、健全な利用を推奨するような内容を投稿。さらに、「お店には、可愛らしい制服を着た女の子がたくさんいましたよ♡」と、ことねがメイド服を着ていても不自然ではないような情報を、さりげなく盛り込んだ。彼女の投稿は瞬く間に拡散され、多くの生徒が「メルティリボン」に興味を持ち始めた。

続いて動いたのは、花園レイカだった。 彼女は、みことのSNS投稿を見て、そしてことねの危機を乗り切るため、ユウトが奔走していることを理解した。 (私だって、月城くんに貢献できることがあるはずよ!それに、ことねさんのような努力家が、こんなことで潰されるのは、我慢ならないわ!) レイカは、自身の持つ情報収集能力と資金力をフル活用した。彼女は、メイドカフェ『メルティリボン』の店長に、緊急の「ボランティア協力」を申し出た。目的は、明日の抜き打ち検査に備えて、店舗の「健全性」をアピールするためだ。 「店長さん、わたくし、花園レイカと申します。明日の抜き打ち検査の件、お耳にしましたわ。わたくし、少々人脈がございますので、お手伝いさせていただけませんか?例えば、カフェの雰囲気を変えるため、一時的に『読書カフェ』のような装いにするとか、健全なイメージのチラシを大量に配布するとか……」 彼女は、言葉巧みに店長を説得し、店内のレイアウトを変更させ、カフェを「健全な学生の溜まり場」のように見せかけた。さらに、知人のツテで、雑誌の取材を装い、学校の抜き打ち検査の日時に合わせて店に「学生記者が取材に来ている」という状況を作り出す手配までした。

そして、最も決定的な行動に出たのは、桜井ゆづきだった。 彼女は、他のヒロインたちがそれぞれ行動しているのを見て、ユウトがことねの秘密を守るために奔走していることを理解した。ゆづきは、かつて芸能界で培った、「裏工作」のスキルを最大限に活用した。 (御影さんが、風紀委員長として検査に同行しなければならないのであれば……彼女が、『メルティリボン』でアルバイトをしていないことを証明すればいい) ゆづきは、こっそり『メルティリボン』のシフト表を、店員の目を盗んで確認した。そして、ことねのシフト時間に重なるように、全く別のメイドの勤務記録を偽装した。さらに、店内の監視カメラの映像も、ことねがシフトに入っている時間帯だけ、巧妙に「システムエラー」で録画されていなかったかのように改竄した。まるで、見えない「情報工作」のように、ことねの存在を『メルティリボン』から消し去ろうとした。



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