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みことの危機:アニメダンス動画、流出寸前

みことのステージ発表が始まる直前、会場の熱気は最高潮に達していた。ユウトは、舞台袖でみことの姿を見守っていた。彼女は、完璧な衣装を身につけ、緊張しながらも、観客の期待に応えようと、深呼吸をしていた。

その時だった。 会場に設置された巨大スクリーンに、突如、異変が起きた。本来なら、オープニングのクラス紹介映像が流れるはずだったのだが、そこに映し出されたのは、全く関係のないプライベートな動画だった。 「な、なにこれ!?」 会場のあちこちから、驚きの声が上がる。 動画に映っていたのは、夜の音楽室で、ヘッドホンをつけ、全身全霊でアイドルアニメのダンスを踊る、七瀬みことの姿だった。

ユウトの心臓が、ドクンと大きく跳ねた。 「七瀬さんの……!」 会場は一瞬静まり返った後、ざわめきが大きくなっていった。動画に映るみことの動きは、確かにプロ顔負けの完璧なダンスだった。しかし、それが、学園の女王である七瀬みことの姿であると認識されると、そのざわめきは、嘲笑と困惑の混じったものへと変わり始めた。 「あれ、七瀬さん?」「え、なんで七瀬さんがアニメダンス?」「しかも、あの真剣な顔……キモっ」

みことの顔から、一瞬にして血の気が引いた。彼女は、ステージ上で、まるで時間が止まったかのように硬直していた。長年隠し続けてきた秘密が、今、全校生徒の目の前で、白日の下に晒されようとしていた。絶望が、彼女の顔を覆い尽くした。

「止めろ!」 ユウトは、反射的に叫び、ステージコントロールパネルへと駆け寄った。しかし、パネルはロックされており、どうすることもできない。 その時、ユウトの脳裏に、文化祭前夜に見た不審な男子生徒の姿がフラッシュバックした。 (あれは……あいつの仕業か!?) ユウトは、これまで培ってきた観察眼と、彼女の秘密を守るという誠実さをフル活用し、必死で秘密を守ろうと奮闘する。しかし、彼の力だけではどうにもならない状況が発生していた。


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