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僕だけが知っている、彼女たちのヒミツ  作者: すぎやま よういち
秘密の共有と信頼関係の構築
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ユウトの「緊急任務」と、駅前のスーパー

月城ユウトは、これまでに七瀬みこと、一ノ瀬すみれ、御影ことねと、三人のヒロインたちの秘密を知る羽目になった。彼の日常は、もはや「地味」とは言えなくなっていた。しかし、彼自身は、あくまで「秘密を守る者」として、特別な意識はしていなかった。ただ、彼らの秘密を知ったことで、人々の「表」と「裏」に興味を抱くようにはなっていた。

その日、ユウトが駅前のスーパーにいたのは、まさに「緊急任務」があったからだ。 彼の母親から、仕事帰りに一本の電話が入った。 「ユウト、ごめんね!今日、急に会議が入って、スーパーに寄れそうにないの。冷蔵庫、ほとんど空っぽだから、今日の夕食、何か適当に見繕ってきてくれるかな?」 母親の声は、疲労でかすれていた。ユウトの母親は、共働きで毎日忙しく、特にこのところは残業続きで、夕食の準備もままならない状態だった。 「わかったよ、母さん。何か買ってくるね」 ユウトは、冷蔵庫の中身を確認した。確かに、ほとんど何も残っていない。 彼は母親を労うためにも、何か手軽に食べられて、しかも少しでも美味しいものを買って帰ろうと考えた。

時刻は午後7時過ぎ。外はすでに真っ暗で、小雨が降り始めていた。 ユウトは、自宅から一番近い駅前のスーパー「フレッシュマート」へと向かった。このスーパーは、閉店間際になると、生鮮食品や惣菜が大幅に割引されることで有名だった。ユウトも何度か利用したことがあり、お得に夕食を調達できるのはありがたかった。 駅前は、仕事帰りの会社員や学生、主婦などでごった返していた。傘を差した人々が、足早に行き交う。ユウトも傘を差し、スーパーの入り口へと向かった。

スーパーの中に入ると、閉店時間が近づいていることもあり、惣菜コーナーや生鮮食品コーナーは、熱気に包まれていた。 「半額!半額だよ!」 「お弁当、まだ残ってるかな?」 主婦たちが、割引された商品を求めて集まっていた。 ユウトは、目当ての惣菜コーナーへと足を進めた。ここには、揚げ物やお弁当、サラダなどが並んでいる。特に狙っていたのは、ボリュームがあって手軽に食べられる「カツ丼」や「幕の内弁当」だ。

惣菜コーナーに着くと、すでに多くの客が群がっていた。 「あ、ちょうど今、割引シールが貼られ始めた!」 誰かの声が聞こえた。店員が、赤や黄色の割引シールを手に、手際よく商品を貼り付けていく。すると、それまで様子を伺っていた客たちが、一斉に目当ての商品へと殺到した。 まさに、「割引弁当争奪戦」の始まりだった。

ユウトも、目的の「カツ丼」弁当を見つけ、手を伸ばした。しかし、彼よりも素早い動きで、別の手がその弁当に伸びてきた。 「えっ!?」 ユウトは驚いて手を引っ込めた。


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