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来る週末。午後10時校門に集合し、会長の用意した車に乗り込む。公共交通機関を使用したとしても最寄りから歩いて一時間かかる上に山の中にある。その山そのものが私有地、すなわち会長の家の持ち物ということになるため車で移動した方が早いだろうと準備をしてくれたのだ。山道の中腹で車を止め林の中を歩いて進む。整備されているとは言い難いがかろうじて道にはなっている。さすがに夜歩くには危険だ、昼間に集合して正解だったかもしれない。しばらく進むと鬱蒼と茂る林の中から古びた洋風の建物が現れた。
鉄の柵で囲われており、洒落たデザインのされた門は錆びて崩れかかっている。正面から見える大きな建物の裏には塔のようなものが聳え立っていた。豪勢な造りであることは間違いないのだがいずれも植物に侵食されており、きっと美しかったのであろう庭は雑草で埋め尽くされ荒廃していた。
「わー!おっきいお城みたいだね、サキ!」
「どう見てもお化け屋敷だけどな」
「姉さんが喜んでるのに雰囲気ぶち壊すとか何様ですかこの眼鏡」
「黙れ、息切らしてんじゃねえよ。バテるの早すぎだろ」
建物の入口の鍵は破壊されており容易く入ることができた。
「分家だからってこの杜撰な管理はないよねえ…」
と会長は1人渋面している。建物の中は荒らされた様子もなく静まり返っているが埃のせいか空気は淀み昼間のはずなのに陽の光はわずかにしか入ってこない。床の埃の中に依頼主や動画撮影者達のものであろう比較的新しい足跡がいくつか残っていた。
「めっちゃ広くね?ここ全部探すの?マジ?」
「あの外の塔みたいなやつも見るんなら時間かかりそうだな、手分けした方がよくねえか」
「…そうだな、鮫島のいう通りくじ引きでもして手分けした方が良さそうだ。1階と2階と…外のアレで3つぐらいか?」
「ジャジャーン!見て見てサキ!そんなこともあろうかとくじ用の紙を持ってきたのだ、へへん!」
「さすが姉さん用意周到ですね」
「…いや、それこの前の数学の小テストの紙入れっぱなしにしてただけだろ」
そんなツッコミはお構いなしに有翔は赤点の答案用紙の裏に線を引く。真っ赤なペケを隠すことも恥じることもないメンタルの強さに最早憧れる。
「アミダできた!みんな好きなところ選んでね」




