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古・山田
「どうした山田」
「ふむ、先程地下で拾ったこのノート、どうやら日記のようでな」
有翔を探すために1階を捜索中、山田は歩きながらノートを広げて考え込んでいた。
「日記?地下にいた女の人のか」
「おそらく。あの女性はやはりここで何かの研究をしていたようであるが」
「読みながらもいいが足元気をつけろよ」
言ったそばから山田が躓いた。腕時計を確認すると18時を指しておりもう外はだいぶ暗くなっていた。アイツの警告が的中した。早く帰らないともっとまずいことになりそうな気がする。
廊下の奥の突き当たりに大きな扉が1つ残っている。扉を引くとガシャンと大きな音を立て引っかかった。どうやら鍵がかかっているようだ。
「だめだ、他をあたるか」
「……サキ?」
扉の向こう側から聞き覚えのある声が聞こえる。思わず扉に張り付いた。
「……!有翔、有翔か!?」
「うん、うん…!まってて、すぐ開けるね!」
ガチャンと鍵の開く音とともにピンク色の髪が飛び出してきた。
「サキ!良かったぁ!大丈夫?怪我とかしてない?」
「こっちの台詞だ。良かった、元気そうで安心した……会長は?」
中を覗き込むと大きなステンドグラスのある大広間のようだ。部屋の中央に長い机が置かれており、他の部屋よりも家財道具が高価そうだ。
「ハルくんならそこで寝てるよ」
部屋の中を見渡すとベンチの一角に会長が静かに横たわっていた。近づいて耳をすませば寝息が聞こえるが顔には血の気がなく、指先は冷たくなっていた。
「すごく具合悪そうだったから寝てもらったんだけど…でも今度は呼んでも揺すっても起きなくて…どうしようサキ」
不安そうに有翔は古の腕に縋り付く。会長に聞きたいことがあったのにこれでは確認の取りようがない上に、普段頼りになる会長がこうも大人しくなるとやはり心細くなるとは、決して本人にいえたものではないのだが。
「ひとまず鮫島達と合流しないと、早くここから出よう。会長は……しょうがない。担いでいくぞ」
ぐったりと弛緩した会長の肩を3人で担ぎ上げたその時、バタンッと勢いよく先程入ってきた扉が閉まる。振り返る間もなくずんと会長の体が重たく沈み込む。周囲が途端に暗くなった気がした。
「え、えっ……?」
困惑したように山田が会長の肩を離したその時、
「───あぁ、これでやっと動ける」
背後から低い声が響く。




