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チーム2(犬飼):
なんだアレなんだアレなんなんだよ、アレは。腕に絡みつく生ぬるい感覚が消えない、背中を走る不快感で叫び出したくなる。
「たーくん、」
無意識だった、助けを求めた訳ではなくただ心の奥底から漏れるように出てきた、だけだったのに。
「れーちゃんっ!!」
欲しかった声が返ってくる。廊下の奥から鮫島の姿が見える。身体中が求めていたかのように一瞬で沸き立った。いつだってピンチの時に必ずこうやって走ってきてくれるのだ。
「……王子様かよ、なんか靴片方脱げてるけど」
走る勢いでそのまま抱きつく、力強く受け止めてくれた。浄化されるように安堵の息をつく。冷えた体が一気に温まっていく感覚がした。
「っ、無事か!?」
心配そうに顔を覗き込まれる。どうやら叫び声を聞いて駆けつけてくれたらしい。
「うん、あーすっげえ怖かったぁ……」
「何があった?」
「それが何か黒いやつがさ……っああ!」
ほっと息をついたことで大事なことを今更ながらに思い出した。一緒に探索をしていたはずの長身がいない。
「やっべえ源ちゃん置いてきちゃった!どうしようたーくんっ」
「源氏くんがなんだって?」
「そう、俺あの部屋に源ちゃん置いて…え?会長?」
「は?」
抱き合う2人の傍らにいつの間にか生徒会長が立っていた。気配はなかった、周囲には誰もいなかった、はずなのに。
「源氏くんがどうしたんだい?君と一緒だったろう?」
「えっあ…うんそうなんだけどさ…」
「アンタ、有翔はどうしたんだ」
鮫島が混乱したように割り込む。犬飼を抱きしめる腕に力が入る。
「……?有翔?なんのことだい」
「なんの事って……アンタに託して俺と分かれたはずだろ?なんでここにいんだよ」
会話が噛み合わない。どちらも嘘をついている素振りもなく、鮫島に至っては怖がっているように見える。
「君の声を聞いて駆けつけたんだけど………ん?」
その時、曲がり角から山田がひょこっと顔を出した。




