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──これは夢。違う、自分の幼少期の記憶の断片。
祖父を騙した罪か、血を分けた兄弟の名を騙った罰か。
居間の柱時計の鐘をつく。9度の鐘の音にため息が溢れる。ここはどこだろう、連れてこられた一日目は好奇心で探索するのに夢中であったがさすがに体力の限界が訪れていた。空腹と寒さが寂しさを助長する。帰りたい、と呟くが無人の部屋からは返事はない。帰りたくとも帰り道が分からない。視界が涙でぼんやりと滲んだ。途方に暮れて座り込むしかできない無力な自分に歯噛みする。
「……でも、ハルをここに連れてこなくて良かったなぁ」
本来ならここに連れて来られるはずだったのは自分ではない。でも体の弱いあの子にはこの環境で長時間過ごすのは耐えきれなかっただろう。自分とそっくりな片割れを思い出しながら意識が遠のくのを感じた。その狭間、
「あぁ、面倒臭い」
誰かの舌打ちと悪態をつく声が聞こえた。