第15話 不穏な始まり
世界を滅ぼすとされる『災厄』が眠る地。
代々それを封印する為の宿命を背負ったこの世界の住人は『封印の民』と呼ばれている。
しかし、この世界にも世界を滅ぼす程の脅威なる力を崇める者も居る。
彼等を導く混沌の使者…災厄の混沌の中から生み出されし使徒である『不限の魔女』と呼ばれる存在。
それは『災厄』がこの世に顕現した代行者である。
彼女は、不老不死にしてその絶大な力は、神をも超えると言われている…
彼女を先導者として付き従う者達、
この世界の封印を解き、混沌を創り出そうとする彼等は『創理教徒』と呼ばれ、常に世界を負の方向へと進ませようとしている。
そして、生徒会選抜大会で活気づいている学園にもその影は迫っていた…
異変は、既に学園内でも起こっていた。
レイン達の入学式から今までの1か月間で、修練中の暴走による『狂戦士』化が急増している。
例年では、年に数名程度しか出なかったのだが、既に17人もの生徒が暴走しているのだ。
生徒会は、度重なる暴走に警備体制を強化せざる負えなくなり、人員が不足している中で、
更に食堂での食中毒騒ぎや窓ガラスが転落するなど不可解な事態が頻発していた。
ランド=グリッドが、大会本部へ装備品を預けて戻る途中それは起こった…
「おーい、ランド!」
名前を呼ばれ、振り向いたランドにルームメイトのアーサー=ノルジアナ(19)が駆け寄って来た。
「もうすぐ授業が始まるのに、こんな所で何をしてるんだ、アーサー君?」
「寮に忘れ物しちゃってさぁ、今さっき取りに言って来たところだよ。」
ノートをヒラヒラと見せながら話すアーサー。
「ランドは、大会本部へ行って来たみたいだな?」
「そうなんだ、前日までには本部へ持っていかないと…ん?君達は…」
歩きながら話す二人の前に5人の生徒が立ちはだかっていた。
「お前、ランド=グリッドだろう?明日の大会に選抜されてんだってなぁ?」
生徒達はニヤニヤ笑っていた。
どの顔も見た事はあるが同じクラスの生徒では無かった。
「…そうだが、僕に何か用が在るのかい?」
「ああ、用が在るからここで待ってたやったんだよ。
お前等Aクラスの連中は他のクラスの奴等からやっかまれてるって知ってたか?
適性検査の数値が偶々良かったってだけで、Aクラスに入れたくせによぉ…ったく、目障りなんだよ!」
「君達は…確かBクラスの…」
アーサーの見知った顔が何人かいた様だ。
「よく知ってるじゃないか?俺達はBクラスだ…
然も『転生者』だってのに大会のメンバーにすら選ばれていないがな。
俺達が、選ばれないのに弱そうな『地精人』のお前が選ばれてるってのは納得がいかねぇんだよ…
どうだ、お前がどんだけ強ぇのか見せてくれよ?」
そう言って、修練用の武器を構えるBクラスの生徒達からは、殺気が放たれていた。
「…『転生者』…」
アーサーが呟いていた。
「何を言っているんだ?!君達も学園の規則は知っているだろう?学園内での私闘は禁じられているんだ。
君等とこんな所で戦う理由が無い。」
ランドが、Bクラスの生徒達を説得しようとするが、
彼等から出ている殺気が消えない…
「俺達は、落ちこぼれって奴だ。
どうせ頑張ったって生徒会になれる訳でもないしな。
頑張って卒業した処で、良いとこに就職できそうにもないからな…学園に残る理由なんてないんだよ!」
そう言って、生徒達は襲い掛かって来た。
ランドが、攻撃を避けつつ
「待ってくれ、闘う気は無い。
こんな事をしても意味は無いんじゃないか?」
「お前を叩きのめせば、爽快な気分になれるんだよ!」
Bクラスの生徒達は、聞く耳を持たない。
反撃をせず、避け続けるランドだったが、相手の人数が多すぎる。
少しづつ傷が増えていく…
(くっ…このままでは…)
「おらぁっ!どうしたよ選抜メンバーさんよぉ、避けてばっかりじゃあ、面白くねぇんだよぉ!!」
さらに激しく攻防が続く、そこへアーサーが飛び込んで来た。
Bクラスの生徒達の攻撃を受けきり、ランドを庇う。
「アーサー君?!何やってるんだ!君まで巻き込まれて…」
「俺達ルームメイトだろ?
一人残して防寒なんて出来る訳ないじゃん?それに俺、一応『戦士』だからさ。
仲間を庇って防御するってのは得意なんだ。」
そう言って、ウィンクして見せるアーサー。
「だけど…」
「大丈夫、君は守って見せるさ。だから、手を出すなよランド。
君は、大会に出て生徒会に入るんだ!」
ランドを庇い攻撃を受け続けるアーサー。
「助っ人が入ったからって何も変わらねぇよ?
『戦士』らしいが、どこまで耐えられるか試してやるぜ!!」
「こんなぬるい攻撃で俺が落ちるわけないだろう?もっと気合入れて攻撃して来いよ!」
「ナメテんじゃねぇーぞ!!」
そう言ってさらに激しく攻撃しまくるBクラスの生徒達だった。
その光景を校舎裏から何者かが見ている様だったが…姿が消えていた。
始業の鐘が鳴り、席に着くレイン達。
いつもならエノーラ先生が、鐘と同時に入って来るのだが…その気配はない。
教室内が少しざわついていた。
「何かあったのかな?」
チャールズが、ダグラスへ話し掛けた。
「さぁな…今朝は、なんかいつもと様子が違っていたな…他のクラスの生徒達が、どことなくピリピリしていたようだが…
そう感じなかったか?レイン。」
レインに話を振る。
「…そうだな、どことなく校内の雰囲気がおかしい様だが…
大会が目前に迫っている所為か…或いは…」
レインが、思考を巡らせる仕草をしていた。
フェリスが、横から声を掛ける。
「ランド君とアーサー君が席に居ないみたいね?」
見ると二人の席だけが空席になっている。
「あら?珍しいわね…学級委員長が遅刻なんて…初めてじゃない?」
サーシャも加わる。
《…気付いているかい?》
(ああ…変わった時間軸の中で動いている奴が居る様だ…
この世界の因果律にも干渉し始めているな…)
《そうか…この微弱な波動を君も感じていたって事か…
どうやら、この世界での君と言う存在に与えられる『力』が現れ始めてるね…
やっと、その身体にも馴染んできたって事かな。》
(…良く判らんな、この身体に馴染んだからと言ってどうなる?
あのクソ爺に啖呵切って『創世神』を辞めて来たんだ…そんな奴にどんな『力』が与えられるって言うんだ?)
《…そうだね、まだ君が知る必要は無いのかもしれないね。
近いうちに…解るべくして、理解する刻が来るはずだから…》
(お前の話はいつも良く判らんな…
それより、今何が起きているのか知っているなら、教えてもらおう?)
《君はいつも核心から入るねぇ…まぁ、それが君の性格だから仕方ないか…》
(…ほう?俺の事を良く知っている様だな…?)
《ま、まぁ、そうだねぇ…それより、君の質問に答えておくよ。
今学園で起こっているのは、『不限の魔女』の仕業だろうね。》
(…『不限の魔女』?)
《ああ…数千年の時を経て『災厄』の封印が弱まってきているからね…
少しづつ『災厄』の瘴気が漏れ出し始めているんだ。
その瘴気から生まれるのが、『災厄』の地上での代行者である『不限の魔女』と言う存在だよ。》
(…その『災厄』の代行者が、この学園を疎ましく思っている…という事か?)
《ホント理解が早いね君、そう『学園』は、『災厄』に対抗する人材を育成する養成機関だからねぇ。
こういう輩には、狙われやすいんだよ。
既に学園内にも入り込んでるみたいだし、もしかしたら…》
頭の中の聲と会話をしていて、レインを呼ぶ声が聞こえていなかった。
「レイン!レイン!!」
何度もフェリスがレインを呼んでいた様だ。
その声に気付き、
「なんだ…フェリス?」
「なんだじゃないわよ!先生の話を聞いてなかったの?!」
慌てているフェリスに
「何があった?」
その質問には、サーシャが応えた。
「レイン様、ランドさんとアーサーさんが襲われて重体らしいんですの!
選抜に選ばれてる私達も今から病室へ行かなくてはいけないみたいなんです。」
「ランドが…」
呟いたレインは、立ち上がり走っていく…その後ろをフェリスとサーシャが追いかけた。
走りながら頭の中でまた聲が聞こえた。
《もう既に始まっている…間違いなく『不限の魔女』の仕業だろうねぇ。
多分…『影操刻』を使ったんじゃないかな?》
(『影操刻』…?)
《彼等の得意技だよ…心に負の感情を持つ者を操る秘術だ。
大会前だからね、ヒガミやヤッカミなんかの負の感情が狙われたんだとおもうよ?》
病室に辿り着き中に入ると、既に他の選抜メンバーは来ていた。
その中に椅子に座っているランドの姿があった。
右手と右足・頭に包帯を巻き、顔には絆創膏を貼っている。
「ランド…」
呼ばれて振り返るランドがレインと目が合う。
「レイン君…」
「大丈夫か…?」
「ああ、僕は大丈夫…かすり傷だよ…でも、アーサー君が…僕を庇って…」
ベッドで横たわっているアーサーは、全身を包帯で巻かれ人工呼吸器を付けられていた。
エノーラ先生が、説明をする。
「アーサー君は、ランド君を庇っていた様ね。
全身16か所の骨折、8か所の複雑骨折、靭帯なんかも切れてるらしいわ…命に別状はないらしいけど…
回復しても復帰するのは絶望的だそうよ…まともに歩く事さえできないだろうって…」
エノーラ先生の言葉を聞いて一同が息を呑んだ。
「僕が規則を重視したばかりに…二人で闘っていれば、アーサー君をこんな目に遭わせる事も…」
ランドが俯きながら苦しそうに話す。
その震える手に…包帯が巻かれた手が重なる…ベッドで寝ているアーサーだった。
「ランド…お前が…気にする…事なん…てないぜ、
俺が…勝手にやったんだ…俺は『戦士』だからな、仲間を庇うのが…俺の仕事だからさ。」
「…でも、僕は君を…」
俯き震えながら絞り出すような声だった。
「分かってるさ…手を…出さず…に耐え…きった、ちゃんと…規則を…守り通したんだ。
だったら…絶対…生徒会に入れ…よ!…お前…なら必ず…
この身体じゃあ…大会を見に…行け…ないのが、残念だけど…楽しみに…して…るよ…」
「アーサー君…」
アーサーが、親指を立ててランドへ向け笑みを浮かべる。
しかし、上げていた手が不意に落ち、苦痛でアーサーの顔がゆがむ。
エノーラ先生が、アーサーの額に手を置き、
「さぁ…お喋りはその位にして、そろそろ麻酔が効いてくる頃だから、今はゆっくりお休みなさい。」
麻酔が効いて来たアーサーは目を閉じた。
レインがランドの肩に手を置く。
「ランド、お前の気持ちは解る…
規則を護ろうとする自分を庇い…盾となり傷付いて行く仲間を何も出来ず、見て居なくてはならなかった。
それを見守り続けなくてはならない辛さも…傷付く仲間を助ける事が出来ない憤りも…
同じような思いを俺も前の世界で経験してきたからな。」
「…レイン君…」
「だがな、俯いていては何も変わらない。
顔を上げ、前を見て進むしかない…そうしなければ、盾になってくれた者の行為が無駄になってしまう。
辛さや憤りを力に変え、大会で勝利する事がアーサーへの返礼になる筈だ。」
レインの言葉を聞いて、アーサーの顔を振り返り、
「…レイン君の言う様に悲観してばかりじゃダメなんだ。
アーサー君は、僕の為に最善を尽くしてくれた…ならば、僕もその想いに応えなくてはいけない。
それが、持ってもらった者の務めだ。」
「そうだな…」
ランドの姿を見るレインの口元に笑みが浮かんでいた。
「それで?エノーラ先生、こいつ等を襲った奴等はどうなったんだ?
Bクラスのクズだと聞いたが…」
バルジモアが、戸口に寄り掛かりながらエノーラへ質問した。
「ええ…アーサー君たちを襲った5人の生徒は、学園の地下にある隔離施設で自粛させています。
処分については、追って沙汰があると思うけど…でも、何か変なのよねぇ…」
「何が変なんだ?」
「それが…5人全員が、襲った事を覚えていないって言うか…夢を見ていたような感覚しか持ってないのよね?
彼等が、嘘や偽りを言ってるって訳じゃないんだけどねぇ…
あと、不思議なのが…みんな口を揃えて『影が命じてる…』とか『影の中から声が…』って言ってるのよねぇ…薬物を使用した形跡もないんだけど…」
エノーラもどこか的を得ていないような話し方だった。
「…影…か。」
何かを考えていて本人も気付かず、口から漏らすようにバルジモアが小さく呟いていた。
エノーラ先生が、集まっている出場メンバーに向き直り、
「貴方達に此処へ集まって貰ったのは、貴方達の置かれている状況を理解して貰うためよ。
選抜大会に選ばれるという事が、どう言う意味を持っているか…あなた達は常に危険に晒されているという事を自覚して、それを理解した上で、責任をもって行動して貰いたいの。」
「今後もこう言う事が起こると…?」
ランドが聞き返した。
「ええ…起こるかもしれない。
今回の様に…貴方達の周囲に危害が及ぶ事もあり得るわね。
十分気を付けて行動するように、特に独りで行動するのは極力控えるようにしなさい!」
一同が肯くとエノーラ先生が、アーサーの方を見ながら
「再起不能と診断されてるけど、アーサー君なら心配いらないわ。
此処の医療施設は、世界最高水準なの、だから最先端の医療技術が受けられるわ。
それに学園長お墨付きの超一流の医師が揃っている。」
「…それでは、アーサー君は治るのですか?!」
ランドが更に訊き返した。
大きく頷くエノーラを見て少し安堵したようだ。
「さぁ、早く戻らないと授業が始まってるわよ。」
エノーラ先生が、生徒達を病室から追い出しつつ、自分も一緒に戻って行った。
フェリスが、廊下を歩きながらレインが居ないことに気付いた。
「…あれ?レインが居ない…?」
振り返ったが、やはり居ない…それにサーシャの姿も無かった。
「先に行っちゃったの…かしら…?」
(…かしらじゃないわよ?!も、もしかしてまた二人っきりになってんじゃないの?!
あの女…ちょっと目を離すとすぐこれなんだから!!)
フェリスが教室へ向かって走って行った。
…が、それはフェリスの早とちりの様だ。
レインは、未だ病室に残っていた…そして、サーシャもドアの外で中の様子を窺っていた…と言うより、レインの雰囲気がいつもと違っているので入りあぐねていたのだ。
(おい、聞こえているか?)
レインは、頭の中に話し掛けた。
《おや?君から声を掛けて来るなんて初めてじゃない?》
(俺は、お前の事が好きじゃないからな…出来れば話し掛けたくも無いんだが…)
《酷いなぁ、じゃあ何で話しかけて来たんだい?》
(不本意だが…お前の力を借りたい。お前ならアーサーの怪我を直せる筈だ。)
《…僕に治癒能力なんて無いよ?》
(そんな事は解かっている、だから治せとは言っていない、直してくれと言っている。)
《…どういう意味…》
(残念だが、此処の最先端の医療でもアーサーが損傷している肉体を元に戻す事が出来ないだろう…
だが、お前なら創れるだろうと言っている。)
《…何故そう思うんだい?》
(まだ惚けるのか…それじゃあ、俺の考えを勝手に話すから少し聞いてろ…
『破綻者』として転生して来た俺が、世界から排除されていないのはこの身体のお蔭だ。
そこで疑問が生まれる、『破綻者』の力を抑える身体なんて存在するのか?
もし、そんな事が出来るのは…前世界の俺と同じ『階級』の奴にしか不可能だ。)
《…》
(…ってところだろうが、思い切ったことをやったもんだ。)
《どうして…そう思うんだい?》
(『災厄』と対峙し均衡を保っていた存在をこの世界に転生して来た俺の力を抑える事に使ったんだ。
世界の均衡は崩れ、『災厄』が力を増す事は解かっていた事だろう?)
《あ~あ…やっぱり、君に隠し事は無理だった様だね…
何時からわかってたんだい?》
(お前が採取に声を掛けてきた時からだ。)
(そんな前からだったの?人が悪いなぁ…もっと早く教えてくれればいいのに?
…でもね、こうするしかなかったんだ。
『災厄』との均衡を保ち続けるよりも優先順位は君のほうが上だからね…それ程君は危険な存在なんだよ。》
(…そうだろうな、何せ俺は『世界の理』から外れた『破綻者』…世界の因果律を歪ませる存在だからな…
お前等からすれば、最優先で排除しなければならない『忌むべき者』だろう。)
《まぁ…そうなんだけどねぇ、僕にも事情があって…と言うか、その話は改めてするよ。
それより、僕の素性がそこまで解ってて頼みごとをするなんて…君らしくないなぁ。》
(何が言いたい?)
《ほら、君って『傍観者』だよね?『隠居者』だっけ?
どっちでもいいんだけどさぁ…何にせよ、世界と関りを持たないと決めてるんだよね?
なのにこの件には関わろうとするなんて、君らしくないよね?》
(俺らしく…か、そうかもしれないな…
もう面倒ごとに巻き込まれるのは御免だ、一切関わる気は無い…ただのんびり暮らしたいだけだ。
今もそれは変わらない…嫌この先も変わらないだろう。
それに…気乗りはしていないが、今進んでる道は、あのクソ親父が敷いたレールの上だ…
拒むこともできないからな、どうしても歩まないといけないらしい、だったら進むしかない。
その道の途中で、俺と関わりを持った者達を放ってはおけないんだよ…それもまた俺なんだ。)
《…そうか、そうだね…それもまた君らしい。
じゃあ…今回は君の願いを聞いて僕の力を貸してあげるよ。》
(…ああ、ヨロシク頼む。)
レインと頭の中の聲の意識が入れ替わる。
自分の手を見詰めるレインだが、今身体の主は頭の聲の方だった。
ずっと動かないレインをドア越しに見ていたサーシャは、
(どうしたのかしら…?ずっとああしたままだけど…
何かしら…雰囲気が変わった感じがする…)
レインは、眺めていた手をアーサーの方へ向ける。
《良いのかい?ドアの向こうに観客がいる様だけど…》
(気にするな、サーシャだ。彼女なら問題ないさ。)
《…そうかい、それじゃあ、始めるけど…元の身体には戻せないのは知ってるよね?
僕の力は、治癒じゃないからね…新しいモノを創る事だ。
似ているが、全く別物だけど…》
(知ってる…俺も元はそっち側だからな。御託は良いからさっさとやれ。)
《はいはい、人使いが荒いなぁ…》
レインの手から不思議な光が迸る…その光はアーサーの身体を包み込んでいった。
サーシャはその不思議な光景を目にしていた。
「な…なに…これ…?!」