心のささくれ~幼稚園時代の記憶とおまけ注釈~
ダブルささくれ(笑)。
薄暗い物置の小さな窓に光が射し込む。
ふわふわ埃が輝いて見える。
棚にはタンバリンや鈴などの楽器がある。
ボクはまたかと思いつつ、泣いた。
幼稚園時代はよく泣いた記憶がある。
ようは閉じ込められたのだった。
その頃のボクはやんちゃでもないし、悪さ坊主でもなかった。
ただ我が強かっただけ。
集団生活に溶け込めず、先生からしたら異質に見えたのだろう。
何故、閉じ込められた?
ふいに思うことがある。
例えば、工作の時間が終わるのに、やがてお昼ご飯になろうとするのにやめようとしない。
・・・かな、なにせ幼少期、記憶が曖昧で正確には覚えていない。
ただ、よく閉じ込められたのは鮮明に覚えている。
理由は様々あるだろう。
個性が強すぎた。
集団を重んじる時代で一際浮いていた。
先生に目をつけられた。
見せしめにされた。
そんなとこだろう。
平日は手作り弁当、土曜日はパンと牛乳だったか、度々食べなかったり、残して家に持って帰った。
そんなボクを見て、お母さんは悲しそうな顔をしていた。
でも、すぐに笑って抱きしめられると、ボクは園でのことはすぐに忘れた。
今思えば、先生は必死だったんだろう。
なんとか、クラスをまとめる為に精一杯やっていた。
心がザワつくボクを懸命に指導してくれたのだ。
先生も泣いていたのだろうか。
・・・たまに物置の中にいるボクを思い出すことがある。
窓を見上げて、途方に暮れ泣きながらも、なんとなくここに落ち着いているボクがいる。
ふと、思い出す心のささくれ。
おまけ(童話「あったかいぬくもり」)注釈
小学校二年の時(多分)、アニメ映画「ドラ〇もんのび〇の宇宙開拓史」を、じいちゃんと妹と三人で観た。
私は妹と二人興奮して帰りの電車の中、デパートで買って貰ったドラ〇もんスタンプで遊んでいた。
もうすぐ家の近くの駅に着くころかなと思いつつ、隣にいるはずのじいちゃんを見た。
・・・いない。
すぐに戻って来るだろう。
思いつつ、妹と遊びを再開したが、一つ、二つ、三つと駅を過ぎてもじっちゃんは戻らなかった。
さすがに、マズイと思い、隣のおばちゃんに降りる駅はまだですかと尋ねると、とっくに駅は過ぎたとのこと、顔面蒼白になる私。
親切なおばちゃんは車掌さんに知らせてくれて、私たちは次の駅で降りて、待合室で親が迎えに来るのを待つことになった。
ほどなくして、父と母が血相を変えて迎えに来た。
「お前はなんばしょっとか!」
父の怒号の後,ビンタが飛んできた。
なんでと思いつつ、
「兄ちゃんやろうが」
という理不尽な事を言われ、思わず泣いてしまう私。
つられて泣く妹。
父は理性を取り戻し、しゅんとなる。
「さぁ、帰りましょう」
優しい母の声に私たちは、それぞれの思いを胸に家路に着いた。
じいちゃんは、めちゃんこ落ち込んでいたそうな。
ふと、思い出す心のささくれ。
書くことによって、癒されるのだろうか。
いや・・・なんだ・・・そうなんだ。