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ロッタとカステラ  作者: つーぼー
8/20

街の市場

おしゃべり好きのロッタは何やら話しています。

「今朝ね、窓を開けたら、綺麗な鳥がいてね、名前を呼んだら、その鳥が私の部屋まで飛んで来たのよ。なんで名前を知ってると、思う?それがね、とっても」

馬車はガタガタと音を立て時には大きく揺れて市場に向かっています。それでもロッタのおしゃべりはとまりません。よくトムに怒られます”舌を噛むからあまりしゃべるな”と。御者のジャンは黙って手綱引いて話を聞いています。

「あっいけない、確認しておかないと」

とロッタがポッケからメモ紙を出した時でした。ビュン♪建物の隙間から谷間風が吹きました。ヒュンとメモ紙は一瞬で建ち並ぶ建物の屋根を越えて行きます。ロッタは振り返り荷台を掴み立ち上がりました。

「どうしよう?」、ジャンも慌てて馬車を止めます。「どーどー」

すると、バサ、バサとカステラが飛んできて、馬車の御者席の背もたれにとまりました。左足に飛んで行ったメモ紙持ち、それをロッタに渡そうとしています。

ロッタは目まるくして、手をたたき喜びました。

「ありがとう、カステラ!まさかあなたがこれを届けてくれるなんて!信じられない」

とロッタはメモを受ける取ると、人差し指でカステラのおでこを優しく撫でました。カステラ照れ臭そうにくりくりと頭を動かしました。

「この子が、さっき話した。”友達”のカステラ。カステラも一緒に行かない、これから中央広場の市場に食材をジャンさんと買い出しに行くのよ、カステラがこれを届けてくれなかったら大変だったのよ。またロゼッタおばちゃんに怒られるとこだった、本当にありがとう」

とロッタは足をばたばたさせて、ジャンとカステラの顔を交互に見ながら、話し始めます。

ジャンは少し微笑むと、手綱を引き再び馬車を走らせました。カステラは揺れる馬車に必死に掴みながらロッタについて行く事に決めました。


あたいはカラステラインコのカステラ、ロッタの”友達”なんよ。


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