ロッタとカステラ
「あたいは、街に行ってみるんよ」
とカステラはライトにそう言うと時計台をぐるりと一周し、公園を通過して一番最初に目にした果物屋の屋根にとまりました。バサバサとライトも続いてカステラの隣にとまります。
「あたい、何だかお腹がすいたんよ」ライトを見ながらカステラは言いました。
「ちょっと待ってろ」と言いライトはバサッと翼を広げ滑空し、バサバサと空高く昇っていきました。
カステラが一人【一匹】、街を眺めていると、向い洗濯屋の煙突の隣の小さな窓から手を振る女の子が見えました。
「カステラー!カステラー!」となぜでしょう、カステラの名前を呼んでいます。カステラは不思議に思いましたが、そのかん高くてかわいい声に誘われて、彼女の元へ飛んでいきました。
カステラが窓枠にとまると、その女の子が手を叩き喜びながら、話し始めました。
「私は、ロッタ。あなたはカステラでしょ?おじいさんがくれた絵の裏にそう書いてあったもの、私が公園で絵を描いてたらね、あっ!これ食べてね」
とクッキーをパキンと折ってカステラの前に置くとロッタは話を続けました。
「絵を描いてたら、おじいさんが私の絵を褒めてくれて、完成したら売ってくれないかって言うから、差し上げますって言ったのね、そしたらおじいさんが手に絵を持っているのが分かったから、見せてくださいって言ったら、それがあなたの絵だった訳!その色使いがとっても綺麗で、こんな綺麗な鳥がいるのかなぁって思ってたんだけど、今窓を開けたら!屋根にとっまてるじゃないびっくりしちゃった。それでね!すごい綺麗ですねって、本当に綺麗だったから、言ったらおじいさんがじゃあ取り替えようって言うの、滅相もないと思ったんだけど、どうしてもって言うから貰っちゃったのよ、でも私の絵は、完成したのに」
と言うと部屋の隅にある物入れに体半分入れて何やら探し始めた。しばらくすると丁寧につつまれた絵をカステラの前でほどくとロッタは嬉しそうに言いました。
「ほら!これあなたでしょ!?」
おしゃべりロッタとカステラの出会いです。部屋はおじいさんと暮らしていた部屋と同じ油絵具の匂いがしていました。
「あたいは、カラステラインコのカステラ。しゃべれる言葉は
”おじぃちゃん、おはよう、ありがとうと、ロッタ”だけなんよ」




