大空高く
ひゅんと吹いた風に乗っかってトンビのライトはあっという間に小さくなりました。カステラも必死に翼を動かしライトを追いかけます。滑空しなが螺旋状に上って行くライトの丁度真ん中をカステラ必死に飛んで行きます。
「ほら大きな風が来るよ、翼を広げたまま止まってごらんよ」
「風?」カステラは言われた通りに翼を思いきって出来るだけ広げました。一瞬降下したかと思えば、一気に急上昇しました。おじいさんのお屋敷が一瞬にして小さくなるのが見えます。
「すごい!すごい!」ライトを見ながら叫びました。ライトは風をうまく使ってさらに大きな螺旋を描いてカステラを見守っています。
「あたいはこんな高く上った事ないんよ」
街にある大きな池もかなり小さくなってきました。風もおさまり再び、カステラは翼を必死に羽ばたかせています。必死に必死におじいさんに会うために。
「ライト!流石に疲れたんよ、後どれ位なんよ」
ライトがゆっくり近づいて来て言いました。
「あの雲を越えたら、半分くらいかな?俺も行った事があるわけじゃないからな」
それからどれ位たったのか、いつの間にか雲を越えていました。もう疲れたのかカステラは一言もしゃべりません。すると、赤い傘がどの位の距離にあるのか、天をめざして上って行くのが見えました。
「おじぃちゃん、あたいは不自由なんて感じた事なんて一度もないんよ」
カステラも天を目指してその傘を追いかけました。段々近づく内にその傘に誰かがぶら下がっているのが分かりました。何か叫んでいます。
「カステラ危ないから、お帰り」」
おじいさんです。カステラも力いっぱい叫びました。
「おじぃちゃん、あたいは不自由なんて感じた事なんて一度もないんよ」
「カステラ、ありがとな、こんなとこまで」
カステラも最後の力をふりしぼって、叫びました。
「おじぃちゃん!ありがとう」




