カステラ
ロッタとカステラはレオの店へ行くことにしました。店につくとレオの言った通り、裏口のドアに鍵はかかっていませんでした。ドア開けると、突き当りの階段が蝋燭で照らされていて、ロッタは屋上へと向かいました。
屋上のドアを開けるとベニーさんが、コーヒーを飲みながら賑わう街を眺めていました。
「おはようございます、ベニーさん」
ロッタがそう言うと、ベニーさんは振り返り口を開けて驚きました。
「ごめんなさい!勝手に上がってきて!レオに言ったら平気って言うか…」
「カステラじゃないか!」
ベニーはロッタの元に駆けより、肩にとまったカステラに言いました。
「おはよう、おはよう」
カステラも答えます。
そして、ベニーはロッタの頭を優しく撫でると言いました。
「やっぱり!カステラか、なんでロッタと一緒におるんじゃ?」
「おじぃちゃん!おじぃちゃん!」
ロッタはカーターについて、ベニーに色々と聞かされました。亡くなった事や、カステラが飼われていた事、街で一番有名な画家だった事。ロッタも名前だけは聞いた事がありました。
「この絵が、出来たら、あげる約束をしてたの!私の絵をほめてくれて、カステラの絵と取り替えっこしようって言ってね、おじぃさんに会いたく、会いたくて!毎週ここに来てたんだけど」
ロッタの目から、涙がこぼれます。一度しか会った事のない、カーターと言う画家にロッタは、恋こがれていたにちがいません。ぽたりぽたりと、
「ロッタ!ロッタ!」
とカステラも一緒に泣いてる様でした。
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