ロッタとカステラ
外に出ると、カステラは羽ばたき、ロッタの肩から離れました。
「ロッタ!ロッタ!」
建物の間を抜け屋根を越え、自由に飛び回りカステラは叫びます。ロッタも手をふって叫びました。
「あはっ!カステラ気をつけてよ!」
噴水広場に向かう途中、ロッタは何度もカステラを探します。カステラはぐるぐる回りながら、ロッタの上を飛んでいます。
「カステラはいいわね!空が飛べて!」
「ロッタ!ロッタ!」
とカステラが答えました。
街行く人達は驚いて足を止めて、ロッタ見て、その後に空を見上げます。そんな自分に気がついたのか、ロッタは恥ずかしそうに、足早にその場を離れました。
幸せそうに微笑みいっぱいで走るロッタをカステラは追いかけます。
「私ったら、バカみたい、恥ずかしすぎて燃えちゃいそう」
息を切らせて、立ち止まりロッタは呟きました。そんなロッタを見て、カステラはパタパタ♪と音を立ててロッタの肩に優しくとまり、そして真っ赤な顔をしたロッタの耳たぶを優しく噛みました。
「あはっ、あーっ、恥ずかしかった」
「カステラは、いいわよね!空を自由飛べるんですもの、となり町だって私の故郷だってすぐに飛んで行けるもの、空から見る街並みだって見れるし、でも私だって、想像できるのよ!空から見る街並みだって、故郷にいる妹とか、お母さんとお父さんのこととか!」
カステラは黙って、たまに首をクリクリと傾げながら聞いています。
「あー!凄い人」
どうやら、今日は隣街の物産展のようです。ロッタが思う景色とは違って人であふれ、噴水の周りは、屋台で囲まれていました。
「どうしよう!カステラ、これじゃ絵を描く場所なんてなさそうよ」
あたいはカステラ、もっと言葉を覚えてロッタと話したいんよ。
ご意見、感想があればうれしいんよ!




