ロッタとカステラ
「おばさん、お風呂借りまーす」
「いいけど、ご飯は、食べたのかい?帰って来たかと思ったら、すぐに部屋行くから」
とハンナおばさんがズボンを伸ばしながら答えました。ハンナおばさんはロッタの母親の妹で、この洗濯屋の主のハンクの奥さんです。
「ごめんなさい、今日、友達が来てるの、今度紹介するから。ご飯はお店でご馳走になってきたの」
「あいかわらず、せっかちね」
ロッタは、お風呂から上がるとすぐに部屋にもどります。
「おじさん、おばさん、おやすみー!」
ハンクおじさんが新聞を読みながら、ロッタを見ました。それでもロッタは返事も聞かず自分の部屋に駆け上がって行きました。
部屋に戻ったロッタは、毛づくろいをするカステラを見つけて言いました。
「よかったぁ、カステラが帰ってたら、どうしよかと思ってたの」
ロッタは、鏡を見て一、二度髪をとかすと、カステラのいる机の椅子を引いて座りました。そして話し始めました。
「今日は、結婚式だったでしょ!あれから大変だったのよ、私がピザを焼いたんだけど、みんな美味しいって、注文が多くて、勿論、私は焼くだけよ。トムさんが全部、準備してたの…」
ロッタは一度立ち上がり、ぶら下がったランタンの火を机の蝋燭に移すと、ふっと消して話を続けました。
「それでね、花嫁さんが、とっても綺麗で、可愛くてとても恥ずかしそうにしてたんだけど、花婿さんはとても優しそうで、みんな、いい人ばかりで、とにかく幸せそうだったのよ。結婚っていいなぁって…」
どうやらロッタは疲れて眠いようです。
「ごめん」
そう言って、ロッタは蝋燭を消すとベットに寝っ転がりました。
カステラは布団のかかったロッタの胸にとまります。カステラの微かな足の感触はロッタにとってとてもいいものようでした。
薄目を開けて、ロッタは言いました。
「おやすみ、カステラ」
「おやすみ、ロッタ、ロッタ」
窓に丁度、綺麗なお月さまが上っていました。
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