悲しそうなカステラ
ジャンが綱を引き、馬車は走り出しました。カステラもまた、おじいさんの家に向かって飛び立ちます。
「おじぃちゃんの家に行ってみるんよ」
一度時計台に向かい、そこから南に向かって小さな林を抜けると大きなお屋敷が、おじいさんの家でした。今朝飛び出したのに随分昔に思えてなりません。カステラはお屋敷に一番近い木の枝にとまります。
「おじぃちゃんは、もういないんよ、いないんよ」
とカーテンで閉め切られた部屋を見ながらぼーっとしています。
木の下には、沢山の人が正面の入り口を出たり入ったりしています。それでもカステラはじっと部屋を見つめています。
「あたいは、悲しいんよ、悲しいんよ」
と人の出入りも無くなり、もう日が暮れるころです。
「おじぃちゃん、寂しいんよ」
どこからともなく、おじいさんの声が聞こえてきます。
「カステラお前は、幸せを運ぶ青い鳥なんじゃぞ、わしはもう沢山貰ったから、さあお行き!お前にはもう新しい友達がおるじゃろう!運んでおやり、ロッタはとってもいい娘じゃぞ」
とその瞬間、もの凄い風が、起きました。カステラはクルクル時計台に向かって飛ばされました。
「おじぃちゃん!ありがとなんよ、ロッタは友達なんよ」
とカステラは泣きながら言って、ロッタの元へと向かいました。
ロッタの部屋についたのですが、あいにく風で窓が閉まっていました。仕方なく、今朝いた果物屋の屋根で待つことにしました。
しばらくすると、階段を上がる音が聞こえてきます。部屋の明かりがつき、窓を開けすぐに、カステラを見つけると
「カステラ!カステラ!ごめんねー!待たせちゃったねーぇ」
とロッタは叫びました。
カステラは一目散にロッタの元へ飛んで行きました。
あたいは、カステラ。ロッタが大好きなんよ。
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