ロッタとレオとカステラ
はぁはぁとロッタが息を切らせながら、
「おまけしてくれるのは、いいけど、でも断るわけにもいかないでしょ」
パンパンに膨れた手さげ袋を重たそうに持ちながら言いました。
「ロッタ!ロッタ!」と時折、カステラがまるで『がんばれ!がんばれ!』と言ってるかの様に叫びます。
賑わう人達は足を止め、そんな”二人”を見ています。
「はぁはぁ」
すると、
「ロッタ!ロッタ!」と何処からか聞こえてきます。
「やっぱり、ロッタだ」とロッタと同じくらいの身長の少年がやって来て言いました。
「レオ、おはよう」とロッタが力なく答えます。
レオは黙って、すっとロッタの荷物を取り、カステラをみながら言いました。
「凄いな、ロッタ。この鳥どうしたんだ」
「ありがとう」とロッタが言うとカステラも「ありがとう」と言いました。
「わお!すげーなこの鳥」レオはびっくりしながら言いました。
「この子はカステラ!友達なのよ”友達、友達”今朝私の部屋に来たの、あっ!それよりレオ時間ある?あとワインを買わないといけないのよ」
レオはカステラを見ながらコクリと頷き言いました。
「大丈夫だよ、そう言えばこの前頼まれた、スタンドもう出来るけど、取り来るか、届けようか」
スタンドとは絵を乗せて描くスタンドである。レオは画材屋で働く額縁大工見習いであり、この街は多くの有名芸術家を輩出した芸術の街である。
「そしたら、届けてくれる、夜だったら、いつでもいいから」
「うんわかった」
三人は、ワインを買うと、ジャンのところへ戻りました。
「レオ、ありがとう、”ありがと”今度何かお礼するね」
とロッタとカステラは言いました。
「別にいいよ」とレオは照れ臭そうに言って、人混みの中に走って行きました。
馬車ゆっくりと、イタリアーノへ向かって走り出しました。ロッタは市場であった事をジャンに事細かに話し始めました。




