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18 今川家の近代史と派閥分布図

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ありがとうございます。

さて、ちょっと今川家の内部についてまとめて置こう。

今川家には二つの派閥がある。

『親北条派』と『親武田派』だ。別に、武田家と北条家に内通しているわけではない。どちらと縁があるかという意味だ。

コレには駿河今川家の歴史が大きくかかわっている。


元々今川家は北条家と仲が良かった。北条家の初代である北条早雲が、まだ伊勢新九郎と名乗っていた頃、関東で勢力を確立させようとしていたのを支持したのが名門今川家だ。

さらに、代替わりして窮地に陥った今川家を支援したのは、伊豆相模で勢力を確立させた北条家だ。

つまり、今川家と北条家は持ちつ持たれつ仲良くやってきたのだ。


そこに一石を投じた男がいる。

先代の今川家当主今川義元だ。

たぶん、ここには師匠の太源雪斎もかかわっていたと思う。理由が極めて合理的だからだ。当時、北条家と仲の良い今川家が敵対していたのが、隣国の甲斐武田家だ。しかし、知ってのとおり、武田家の兵は精強で、さらに甲斐は山間部が多く、領土を得ても米はほとんど取れなかった。つまり、被害は多いが得られるものは少ない状況だったのだ。

そこで、武田家との争いを収め、より豊かな西へ矛先を向けた判断は間違っていない。

事実、豊かな三河まで手に入れ東海一の弓取りと呼ばれたのはこの英断のおかげだ。


問題は、共に武田家と敵対していた北条家はコレを看過できなかった事だ。南の今川家との争いが収まった為に、武田家による北条家への攻撃が激化。険悪な関係になった上に、今川家が西に向かったことで、相模と隣接する駿河の東側が手薄になる。勢力拡大を狙う北条家が駿河今川家に侵攻。駿河東部が北条家の手に落ちてしまう。

さすがに、この状況でさらに西を狙うわけには行かない今川義元は、勢力を東に向けて駿河を取り返す。

こうして、北条家と武田家と今川家の争いは、戦国時代らしい泥沼状態となったのである。


この泥沼を解決するべく、師匠の大原雪斎がこの三家で三国同盟を結び、事態の打開を図ったわけだ。

あの泥沼状態から三国の思惑をまとめた師匠は、流石戦国時代でも著名の変人である。


そんなわけで、今川家には二つの勢力が出来上がった。

一つは、古参の家臣を中心とし長く友好関係を結び続けた北条派閥。もう一つが、東海一の弓取りと呼ばれた英雄今川義元と共に、最盛期の今川家の栄光を担った武田派閥。


恋愛関係で言う三角関係みたいなものだ。家族ぐるみで付き合いのあった幼馴染と、部活で有名になり、ソレを支え続けてくれたマネージャー。告白するならどっち?

もちろん、オレの明確にしてシンプルな答えはただ一つ。

「地獄に落ちろ」である。


話がそれたが、こうして今川家には二つの派閥が入り混じった状況になっている。もちろん、三国同盟により二国と協力体制である為、水面下でどうなっているか知らないが、表面上は平穏に住み分けていた。


現在の今川家の勢力は簡単に分けると、寿桂尼おばあちゃんが北条派閥の重鎮。長年内政外交に携わり今川家を支えていた手腕は確かなものだ。

対する武田派の筆頭が武田信虎。まあ、甲斐武田家への縁としてこれ以上の存在はいない。

そして、現在の今川家において武田派閥は劣勢だ。理由は、武田派の牽引役でもある今川義元が桶狭間でうっかり討ち死にしてしまったからだ。

当然、今川家を立て直さなきゃいけない今川氏真の力は、父親の義元には及ばない。そこで、氏真の足りない部分を補う為に、今川家重鎮のサポートが必要なわけだ。

今川家重鎮というのは、当然今川家に仕えてくれた譜代で、長い間親密な関係であった北条家とも親しい間柄だ。武田家とは父親の代では殺し合いをしていた関係でもある。


そこをふまえて、遠江を切り離したのだ。北条家の本拠地相模から遠江の間には駿河がある。それに対し、遠江の北は武田家の領土である信濃。

三河松平家が遠江を攻めるのは規定路線だ。ソレに対し、今川家は手が足りなく後手に回る。頼りにならない今川家の代わりに彼らは誰を頼るのか。

彼らが武田家を頼ったところで、今川家からすれば損切りする対象だ。武田家と友好的な関係が続くなら、彼らの支援で取り込む事もできる。逆に武田家と敵対するなら、今川家を裏切ろうとする彼らを正当な理由で処断できる。


だが、三河松平家は違う。遠江を攻めるにしろ引き込むにしろ、直接的な敵である今川家なら覚悟の上だろう。だが、その過程で戦国最強の甲斐武田家と事を構える事は絶対に避けるべき道だろう。


食堂に招待し椅子を引いてやろう。大皿に料理は盛って出そう。切り分けもしよう。代金も支払おう。

だが、皿に伸びる箸は三河と駿河の二つだけではないぞ。

がんばれタケピー。もたもたしていると、せっかくの料理の食べる所がなくなってしまうぞ。


飛車丸にも言ったように、ココで動かなければ動かすだけだという話だ。

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