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「さてと、スフレがいなくなったとこで聖女様、あ、カノンって呼んでいーい?」
「はい、大丈夫ですよ」
やったーとはしゃいでいるマフィン君を見てさっきの腹黒そうな笑顔は見なかったことにしようと思った
うんさっきの笑顔は見間違いだ。たぶん
マフィン君から立ち話もなんだしと先程焼いたマフィンを冷ますために置いてある机を指さして机の近くにある椅子に二人が対面するように座った
「あ、僕にはかしこまらなくていいからね普通にため口でいいよ」
「え、わかりまし…じゃなくてわかった」
よしよしと頭を頷かせつつ先ほどの話題に戻った
「えっとね、僕達には自分の名前の由来となったお菓子しか作れないっていうのはスフレからさっき聞いたと思うんだけどねそれ以外にも知ってほしいことがあるんだ。」
そういって話し始めた
この世界の危機について、この国は最初兵の一人が乗っ取られてからどんどんと侵食するように乗っ取られていったそうだ。それを止めようとした王様が人々を乗っ取りから救おうとお菓子の知識を使っていたのだがそれがうまくいかず私を召喚した
乗っ取られた人たちを助ける方法は自分の作ったお菓子を食べてもらい意識を戻すこと。ただそれだけ。だがここの人達はそのお菓子を作ることができない
「乗っ取られたって言っても襲ってくるわけでも暴れだすわけでもないから安心してね」
「うん…乗っ取られた人は今どうしているの?」
「一応安全に保護している状態だよ、でも何人かは保護できていない状態なんだ。しかも保護してても意識を取り戻すのは出来ていないし」
「出来ていないっいうのはスフレさんが言っていた匂いが分からないっていうのと関係あるの」
「うん、それはもちろんあるよ。人の乗っ取りを治す方法は本当に食べてもらうだけなのは事実、だけど
そのお菓子は全員が全員同じもので治すことはできないんだ」
「なるほど。で、相手の目的はなんなの?乗っ取るって変だよ」
「そのまんま、この国ごと全部乗っ取って自分たちのためにだけ働かせようと思ってる連中さ。今乗っ取られた人たちが動き出さないのは全部終わった後になんて思ってるみたいだ。舐めてくれるよねぇー」
にやりとした顔で言う
笑っているというより怒っている顔みたいその後ににっこりとさっきまでの笑顔に戻り話を続ける
「で、さっきの僕が作ったマフィンなんだけどね、これも効く人には効くんだ」
「そうなの?」
「うん、でもマフィンだけで効くのは精々僕よりもランクが低い者で、作ったお菓子を受け入れられる者のみ。食べ物で好き嫌いってあるじゃない?あんな感じかな!」
「好き嫌いは多少はあるもんね、確かに。あと、ランクって?」
「あ、スフレそれも言ってなかったんだなぁー後でお仕置きー」
ランクとはお菓子の知識そのもの
お菓子の知識のないものはまずこの国にはいないだが、ランクが高ければ高いほど自分の名前の由来のお菓子の知識が多い、マフィンの場合は果物を使ったものから中にクリームを入れたものまで知識としてある
だがそれでも乗っ取りを全部治すことはできない
マフィンのランクはDランク
ランクが低くてもこの国は頭の良さと立ち回り、力さえあれば上の立場になれる
ちなみにスフレさんはマフィンくんと同じくDランクタルトちゃんはEランクらしい
王様と私は例外だそうだ
「それと飲み物の知識も揃っていたほうが効果が増すんだ」
「で、さっきのマフィンに合う飲み物を聞いたんだね」
「そうそうわかってくれてよかったー僕本当はこういうの教えるの得意じゃないんだけどースフレに頼んでたのにあいつ君に大興奮して教えてなかったんだなぁーもー!」
マフィンは『プンプン!』と擬音が付きそうな顔をして怒っているだが、先程していたニヤリ顔や、スフレにしていた暗黒笑顔と違ってとっつきやすいような顔だった
なんとなくこの国のことを知れて良かったと思う果音だった。