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「いきなりで申し訳ないですが、聖女様のことも気になります!」


可愛らしい声で喋りだしたのはメイドのタルトだ


「聖女様のお名前は?好きな服装は?好きなお菓子は?!」


先程まで大人しかったのが嘘のように楽しそうに喋りかけてくる

驚きつつ名前も名乗っていないのを思い出す


「私は飴遙果音です。好きな服装は特にないけど動きやすそうな服が好きで、好きなお菓子はケーキでもクッキーでもなんでも好き…かな」


「ほうほう!なるほどですね!スフレ様!私は用事が出来ましたので行ってきますがよろしいでしょうか!」


「分かりました、どうぞ行ってらっしゃい」


「では、聖女様、ご夕食時にまた!」


「え、あ、はい」


元気な笑顔で意気揚々と部屋を出ていくタルトを見届け、ふぅと軽く息を吐くスフレ。


「タルトが失礼いたしました。彼女はなんというか…そうですね、聖女様の好みを知りたかったようです。」


「はぁ…」


「それはそうと、聖女様。カノン…様というお名前でよろしいでしょうか」


「はい、あ。でも様付けされるのと聖女様って呼ばれ慣れないので気軽に果音と呼んで頂きたいんですが」


「私が呼び捨てなどは出来ません!ですが、聖女様は私に対してもっとフランクに接してください。」


「えぇー…もう少し時間が欲しいです…。」


さて、自己紹介もすんで流されることを引き受けたものの先ほど目覚めてからする甘い匂いのことが気になってきた


「あの、さっきから甘ーい良い匂いがするのですが何の匂いなんですか?」


それを言うとスフレさんの目がカッと開く

うわあまつ毛なが!びっくりした…


「せ、聖女様匂いはどちらのほうからしますか?」


「えっと…扉の奥かな」


と言いつつ部屋の扉を開けて匂いを嗅ぐ

なんとなく右側からする気がする


「こっちのほうですね」と指をさしてスフレさんをみる


「思った通り聖女様は才能を持った方なのですね」


嬉しそうに頭をうんうんと頷き始めるスフレさん

何が才能なんだろう…?


「ではその匂いのする方へ行っていただいて扉を開けて頂けますか?」


「はい、わかりました…?」


スフレさんに言われるがまま右手へ曲がり匂いのする方向へ歩くとだんだんと匂いが強くなってきた。バターの香ばしいようないい匂い



「これは焼き菓子の香りかなぁ…マフィン…とか。バターの匂いもするし…」


ぶつぶつと呟きながらその部屋をノックする


「はーい!鍵空いてるから入っていいよー」


少し高めの男の子の声だ。

失礼します、と言ってドアを開け部屋にニコニコしているスフレさんと入ると思ってた通りマフィンを持った男の子がいた


身長は小さくタルトちゃんと同じくらいだろう、いや少しタルトちゃんより小さいかな?


「わぁ聖女様?!目覚めたんだねー良かった!!僕マフィン!よろしくねぇ!」


「飴遥果音です。よろしくお願いします」


「聖女様、こちらのマフィンは医療の知識もあり、聖女様が倒れられた後に看病をしたのもマフィンでございます。」


「そうなんですか!お世話をお掛けしてすみません」


「いやいや、聖女様を看病出来たってだけでもうれしいからぁ!そんな顔しないでー」


しょぼんとした私の顔を見て優しい顔で言ってくれるマフィンくん、この人の雰囲気はすごく落ち着く


「さて果音様、先程の才能についてなのですが」


「はい、気になってました」


「まだきちんと聞いていなかったのですが、果音様はお菓子を作られたりはされますか?」


「はい、人並みには…」


「それを聞いて安心しました。先ほどのマフィンの匂い、あれは我々にはわからない匂いなのです」


「わからないとは…あんなに匂いがしてたのにですか?」


「そうです。我々が分かるのは自分の名前の由来になっているものしか匂いが分かりませんだから作り方等もわからないということなのです。」


「お菓子だけが分からないのですか?」


「そうです。お菓子以外の料理なら人並みには皆できるのですが。」


「なるほど」


「それでね。果音ちゃん!僕が作ったこのマフィンと合いそうな飲み物ってあるかな?」


「一つもらって食べてみてもいいですか?」


「うん、どうぞー!」


マフィンくんから手作りマフィンを貰った

よくあるマフィンに見える、いい焼き目ができてて美味しそうだ。


パクリと一口食べるととても美味しい

バターの風味と口に入れても口の中の水分を取っていかないくらいのしっとりとしたマフィンだ


「すっごい美味しいです!」


「やったあ!」


嬉しそうに微笑むマフィン君、うん、可愛いなぁ…


バターの味のシンプルな味のマフィンだ、個性の強い紅茶でも合いそうだなぁ

うーん。アッサム・ダージリン・アールグレイ。香りが強くてもこのマフィンに合いそうだ

バターのコクもあるのでダージリンならすっきりと食べれるだろう


「ストレートのダージリンはどうですかね?」


「ダージリン??」


「はい、ダージリンならすっきりするのでこのマフィンと合うと思いますよ」


「なるほどー!スフレ、茶葉持ってきてー」


「はぁ、わかりましたよ。」


「うん、よろしくー!」


取りに行こうとしたスフレが思い出したかのように果音の耳元でこっそりと喋りだした


「聖女様、マフィンは基本は良い者なのですがあまり信用しすぎないようお願いいたします」


「え…」


「なぁーんか言った?スフレ?」


先程からしている笑顔でマフィンが聞くが、笑顔が先程と違って怖い


「いいえ?なんでも。では聖女様行ってきますね」


「スフレいってらー!」


「貴方には言ってません」


「そんなこと言っちゃっていいのー?」


ニコニコとでも少し怖い顔でマフィン君が言うとスフレさんが青ざめてそのまま部屋を出て行った

マフィン君のほうがスフレさんよりも怒らせたら怖いのだろうか

少し二人きりになるのが不安になってきた果音なのであった

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