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「ほぅ、では隔離部屋へと行きたいと?」




先程の話をオペラにすると少し揶揄うような声で言われた


少し怖くなり、果音は言葉を詰まらせてしまう




「果音、思ったことを言っていいんだよ」


「そうです、言っていいのですよ!」




果音の両隣に立っているマフィンとトルテが声を掛ける


視線を巡らせると先程まで一緒にいた皆が目線を合わせて頷いてくれた


いつの間にか呼吸が浅くなっていることに気付き、深呼吸をしたら少し落ち着く




「はい。今ここはどんな状態なのか、話だけじゃなくて実際見てみたいんです」


「…驚いた。今までの貴女とは全然様子が違うじゃないか。何か思うところがあったのか?」


「…私はただお菓子を作るのも食べるのも大好きで、それしか取り柄のないと思ってました。そんな私が役に立つならここでお菓子を作ろうと思ってました。でもそれだけじゃダメなんじゃないかなって思ったんです」


「というと?」


「私はあちらの世界でいつもいつも自分のしたいことって何だろうって思ってたんです。何かできることがあるんじゃないかって、でも自分が熱中して出来ることなんてお菓子作り以外なくて。」




「…。」




「こちらの世界に来てお菓子を作って食べてもらって皆に喜んでもらえて、すごく…楽しくて、嬉しかったんです。まだ二回しかこっちでは作ってないのに、まるでお菓子を作り始めた時みたいに、懐かしくて夢中になれたんです。なので、そんな人たちが少しでも喜んでくれるように救える力があるのなら頑張りたい。…現状を知るなら、まずはこの世界の事を知りたいと思いました。」




「…なるほど。いいんじゃないか?」


「意外と簡単に言ってくださるんですね?」


「皆のためと言われたら断れるわけないだろう?しかも貴女はとうに救ってくれているしな」




オペラの言葉を聞き、胸をなで下ろす。




「このまま見に行くのもよいが…貴女は怖いものは大丈夫な人か?」


「怖いもの?ですか?」


「あぁ、ちなみに王は苦手だったようだ。」


「そうなんですか…怖いのはもともと平気なので、行きたいです。」


「そうか、ではタルトに鍵を渡そう。スフレ、マフィン、シュトルーデルお前たち四人で案内を。よいか?」


「「「「かしこまりました」」」」


「えー、なんでトルテは一緒じゃないです?聖女様と一緒がいいですー!」


「トルテ、やることがあるだろう?パルミエが待っている。そちらへ行け、よいな?」


「わかりましたー…」




ー――――――――――――――――――――――――――――








オペラ、トルテと別れて、そのまま隔離部屋へ案内をされる


広い廊下を歩いていると、日差しが差している一角があった


大きな窓から少し外の様子が分かる




晴天の空に、大きな木々や花が咲き誇っている

太陽の光を受けてキラキラとして見えた




「わぁ…」


「聖女様は外に出ていませんでしたね」


「果音に頼りすぎてた僕らのせいだね、ごめんね」


「え、あ、いえ。元々外に出るのが好きな性格ではなくて。お部屋にも窓があるのに全然見てなかったし…」


「では後日庭にでてみませんか?」


「…行ってみたいです。」


「えぇ、ぜひ。案内いたしますわ、聖女様」






約束を交わし、引き続き隔離部屋へと歩いた。

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