救出
そんな…
「よろしくって言われたって、僕はなにも」
その瞬間、心を覗かれた感覚があった。
「きみはそう言うけど、心の中ではなにか隠してるね?」
また覗かれた
「質問します、あなたの能力はなんですか?」
考えてしまった。
「ほほー、能力を奪うのか」
バレた
「なるほど、なまえは能力強奪」
「指定した相手の能力を強制的に奪うか、こわいねー」
「そんな能力、なんの役にも立ちませんよ」
そうだ、そんな能力なんの役にも立たない
「きみは優しいんだね」
「そんなことないですよ..」
「いや、優しいよ、じゃなきゃ私の能力ももう盗られてるしね」
「僕にその勇気がないから今まで役に立たなかったんですよ」
そうだ、僕にはそんな勇気がない。
「だから僕には」
言葉を遮るようにさとりは声を出す。
「じゃあさ、自分のためじゃなくて人のために使おうよ」
そんな時僕の脳裏に過去がよぎる
「あんたなんて産まなきゃよかった」
懺悔
「化け物だ」
嘲弄
「殺してやる」
暴虐
「無力だ」
冷酷
「僕は産まれてこなければよかったのだろうか?」
悲観
光が差す
「ならさ」
深山さとりは手を伸ばす
「私と一緒に進もうよ」
僕はまた迷おうとした。
だが、久々に光りに進むことにした。