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剣士とビッチと美少女七人(エトセトラ)  作者: 恵/.
5の章 ~海乙女と波乱の貿易都市~
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ビッチはご立腹のようです

「ん……」

 関所を出ると、磯の香りが鼻腔をくすぐった。……ドコサは、三方を山に、西側を海に囲まれた都市だ。街道が海から離れた場所を通っているのもあってか、関所を潜ると海の匂いが一段と際立つ。

「おっ、来た来た」

「ようやく揃いましたね」

「グラたんが最後だったわね」

 関所の出口には、エーテルたちが揃っていた。彼女たちも、無事に入場できたらしい。

「全員いるな。よし、行くか」

 そうして彼らは、ドコサの町を歩き出した。とりあえず、折角なので海辺まで足を運ぶことに。

「にしても、独特な匂いだよな」

「磯の香りですか?」

「ああ。あたしはずっとトレハから出たことがなかったから、こういう余所の町の匂いが新鮮なんだよな」

「あー、分かるわ。私も、初めて王都を出たときは同じことを思ったし」

 オクサの言葉に、エーテルが同意した。彼女も、グラと出会うまではずっと王都にいたため、オクサの気持ちが分かるのだろう。

「それにしても、海はまだ見えないのかしら?」

「さっきから、建物の隙間からチラチラと青いのが見えてるがな」

「そういうのじゃなくて、一面真っ青な景色が見たいのよ」

 ドコサは平坦な地形で、関所のほうからだと海が見えにくい。海を一望するには、沿岸部まで出る必要があるのだ。

「海に着いたら何しようかしら? まず、海水浴は外せないわよね。外で堂々と露出できるなんて、そうそうあることじゃないし」

「よくよく考えたら、今の季節で水着は厳しくないか、露出狂」

「露出狂言わないで。確かにまだ暑くはないけど、泳げないほどじゃないでしょ?」

 今は冬が終わり、春を迎えたばかり。ドコサの気候は温暖なので泳げなくはないのだが、体が丈夫でないと風邪を引きそうだ。

「あっ、見えてきました」

「おっ、本当だな」

 やがて、建物の間を抜けて海辺まで辿り着く。

「わぁ……!」

 視界が開けると、そこには一面の青が広がっていた。傾きかけた日差しを浴びて、きらきらと輝いている。

「綺麗、です……」

「ああ……」

「これが、海……」

 初めて見る海に、一同は見惚れていた。美しい海と、頬を撫でる海風を、暫し堪能する。

「……さてと。そろそろ宿でも探すか」

「えー? ここは泳ぐ流れでしょ?」

「もうすぐ日が暮れるし、ここは宿場町よりも宿の競争率が高いはずだ。野宿したいなら話は別だが」

 現在は夕刻だ。今はまだ空が青いが、もう少しすれば紅に染まり始めるだろう。それに、貿易船の沈没事故の影響で宿泊客が増えているので、宿を取るのも難しい状況だ。泊まる場所は早めに確保するべきだろう。

「……仕方ないわね」

「では、早く行きましょう」

「だな」

 そんなわけで、彼らは宿を探しに行くのだった。



  ◇



「……ここも駄目か」

 宿を回ること、五軒目。しかし、彼らは未だに宿を確保できないでいた。……やはり、沈没事故の影響が大きいようだ。お陰で、もう日が暮れている。

「困ったわね……このままだと、ほんとに野宿だわ」

「俺はそれでも別に構わないんだが……さすがに、女子はそうもいかないか」

「っても、最悪そうするしかないんじゃね? あたしは別に構わねぇけど」

「野宿……初めてなので不安ですが、少しだけ楽しみです」

 そんなわけで、全員で野宿する流れに。街中で野宿というのもあれだが、泊まる場所がないのだから仕方ないだろう。

「じゃあ、先にご飯にしましょう。お腹が空いてきたわ」

「そうだな」

 そして、彼らは食事を取ることにした。まずは宿泊場所を確保してからのつもりだったが、それが出来ない以上、夕食にしたほうがいい。

「そういえば、あちらの通りにレストランがありましたね」

「じゃあ、そこにしようぜ」

 というわけで、先程までいた通りへと移動する。そこは商業区画で、レストランだけでなく、日用品を扱う商店なども数多く立ち並んでいた。

「今日は泳げなかったし、海鮮料理を堪能したいわね」

「お前は人生が楽しそうでいいよな」

「羨ましいです」

「ほんとだよな」

「ちょっと、失礼じゃない!? ……って、あれ?」

 他愛もない話をしながら歩いていると、エーテルが何かに気がついた。

「どうした?」

「ほら、あれ」

 彼女が指差したほうを見ると、酒場の前で、女性が男二人に絡まれているようだった。

「あれは……助けたほうがいいのか?」

「見た感じ、ああいう手合いには慣れてなさそうだし、助けてあげたほうがいいと思うわ。ちょっと行って来るわね」

「一人で大丈夫か?」

「平気よ。ああいう手合いには慣れてるし、前みたいに隠形連続発動とかしなければなんとでもなるわ」

 そういうわけで、エーテルは女性の元へと歩いていった。



「いいじゃねぇかよぉ~……」

「こっちで一緒に楽しもうぜぇ~……」

「あ、あの、えっと~……」

 酒場の前で、女性が男二人に絡まれていた。どうやら、男たちは酔っ払っているようだった。

「はいはい、そこまでにしなさいな」

「何だてめぇ~……?」

「邪魔すんじゃねぇよガキがよぉ~……」

 そんな彼らに、エーテルが割り込んだ。だが、酔っ払いたちは不機嫌になるだけで、当然ながら退いたりしない。

「ナンパもしつこすぎるのは駄目よ。夜のお相手を探してるなら、私が受けてあげてもいいけど」

「へっ、ガキが何言ってやがんだよぉ~……!」

「そのぺったん胸じゃなくて、そこの姉ちゃんのほうがいいに決まってんだろぉ~?」

「なっ……!」

 それでも穏便に取り成そうとしたエーテルだったが、胸のことを言われて、顔を引き攣らせた。……ちなみに、絡まれていた女性はかなりスタイルが良かった。胸に関して言えば、そうそうお目にかかれないほどに大きい。

「……そう。そんなこと言うんだ。へぇ?」

「お、おい……!?」

「な、何を……!?」

 するとエーテルは、徐に二人の股間に手を伸ばし、そして掴んだ。

「こんなお粗末なので、随分と偉そうにしてくれるじゃない? もう少し立派なモンを引っ下げてからにしたら?」

「ちょ、ま……!」

「や、やめ……!」

 そして、掴んだモノを、軽く擦った。たったそれだけで、男たちは悶絶する。

「ほらほらぁ、逝っちゃいなさいよぉ」

「こ、こいつ……!」

「何なんだよ一体……!?」

「ビッチ舐めんなっての……!」

「あっ……!」

「おぅ……!」

 そうしてエーテルは、ビッチの本領を存分に発揮するのだった。

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