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剣士とビッチと美少女七人(エトセトラ)  作者: 恵/.
5の章 ~海乙女と波乱の貿易都市~
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ここまでくると、育ち云々の問題ではなさそう



  ◇



「んで、結局どこに向かうんだよ?」

「次はドコサだな。あそこはまだ行っていない」

「貿易都市ドコサですね」

 南西の門からトレハを出て。グラたちは、次なる町へと向かっていた。目指すは貿易都市ドコサ。海に面した港町である。

「貿易って何なんだ?」

「他の国と取引することです。ドコサでは、船によって海外に物資を運搬しているんです」

「へー」

 オクサの質問に、ハイドラは詳しく説明した。……元々、ドコサは海の向こうから来る侵略者を阻む役目を持っていた。今では海外からの侵攻もなく、故に友好国との貿易拠点となっている。

「ドコサといえば、やっぱり海よね! 新鮮な海産物と、広大な海水浴場! これはもう、楽しむしかないわね!」

「お前は相変わらずだな」

「まあ、エーテル様ですから」

 エーテルの言葉に、グラとハイドラは口を揃えてそう言った。

「ちょっと、失礼じゃない! グラたんもハイドラも、海を見たことないんでしょ? 私だってそうだし。だったら、楽しみになるのも当然でしょ? 寧ろ、楽しみにならなきゃ海に対する冒涜よ!」

「いやまあ、楽しみじゃないわけじゃないがな」

「それはまあ……私も生みは初めてですし」

「そういや、あたしも海は見たことねぇな」

「でしょ?」

 だが、エーテルに言われて、彼らは白状した。……なんだかんだ言っても、全員、海については知識でしか知らないのだ。故に、未知の存在に心躍るのは避けられなかった。

「グラた~ん? 私の水着姿に悩殺されちゃうかもよ~?」

「いや、悩殺されるならハイドラかオクサだろ。体格的に」

「……グラたん。女の子を泣かせて楽しい?」

 悪戯っぽい口調で笑うエーテルに、グラはマジレスして彼女の心をへし折った。……エーテルのバストサイズは、相変わらず哀愁漂うものだった。平均並みのオクサや平均より大き目のハイドラと比べてしまえば、最早それ以上の形容が躊躇われるレベルだ。

「……いいもん。そんなこと言うグラたんは放っておいて、私は水着でその辺の男を適当に摘み食いするから」

「好きにしてろ」

 不貞腐れるエーテルに、グラは呆れたように答えるのだった。



  ◇



 ……夕方。


「部屋がない?」

 宿場町に到着し、宿を取ろうとしたグラたち。しかし、宿泊の手続きでトラブルがあったようだ。

「正確に言うと、部屋は二つしか取れませんでした」

「しかも、二人部屋ね」

 手続きをしていたハイドラとエーテルが、部屋の鍵を示しながらそう言った。

「どうにも、最近は宿泊客の数が多いみたいなのよね。どこも似たような状況で、部屋が取れるだけマシな状況みたいよ」

「ですが、このままだと、グラ様は誰かと相部屋ということに……」

 宿は何故か混雑していて、部屋を男女で分けるだけの余裕はなかった。必然的に、グラは女子の誰かと一夜を共にすることとなったのだ。無論、二人部屋に女子を三人とも押し込めるという手もあるが、さすがに無理があるし、出来るだけ避けたかった。

「そうか……まあ、仕方ないだろうな。オクサ、相部屋でいいか?」

「ん? ああ、あたしは構わねぇぞ」

「ちょ、ちょっと待って! どうして迷わずオクサを選ぶのよ!?」

 そんな状況で、グラはオクサに声を掛けるのだが、彼の態度にエーテルが突っ込んだ。

「んなもん、お前は論外だし、ハイドラだと恥ずかしさで気まずくなるからに決まってるだろ」

「なんで私は論外なのよ!?」

「貞操を守るために決まってんだろこのビッチ」

「うっ……」

 しかし、正論で返されてぐうの音も出なかった。要するに、普段の行いが悪いからである。

「そういうわけだから、大人しくしてろよ。ハイドラ、後は任せた」

「お任せください、グラ様。エーテル様は私がしっかり抑えますから」

「四面楚歌……!?」

「そういうわけだから、じゃあな。行くぞ、オクサ」

「ああ」

 そしてグラは、オクサと共に部屋へと向かった。



「ふぅ……」

「なんだよ、疲れたのか?」

「お前は常時元気そうでいいな」

 部屋に着いて、ベッドに腰を下ろしたグラ。思わず溜息を漏らしたところ、オクサに笑われてしまった。

「さすがに歩いたからな、溜息くらい漏れるだろ。その調子で、ハイドラを虐めたりするなよ? ……まあ、ハイドラも最近は体力がついてきたみたいだが」

「んなことするかっての。けど、お前は男なんだから、お嬢さん方を守れるくらいの体力と頼り甲斐がねぇと駄目だろ?」

 グラの言葉に、オクサはそう返した。

「……言っておくが、お前もその守るべき仲間なんだからな? 忘れるなよ」

「なっ……! ったく、そういうこと言うの止めろよな……調子狂うぜ」

 だが、そう言われて、オクサは照れながら、徐に服を脱ぎだした。

「おい……!」

「な、何だよ……? 急に大声出して」

「何故脱ぐ……?」

「はぁ? もう飯は食ったし、後はシャワー浴びて寝るだけだろ? 服着たままシャワー浴びるわけにもいかねぇだろうが」

 慌てるグラに、オクサは上着の裾に手を掛けながら、訝しげにそう言った。……どうやら彼女は、グラの前で服を抜くのに抵抗がない様子。

「……いや、いい。俺が暫く席を外す」

「何でだよ? 疲れてるんだろ? だったらここでゆっくりしてろよ」

 ならばと退室しようとするグラに、オクサはそう言った。……彼女は気遣っているつもりなのだが、それが却って裏目に出ているな。

「……これなら、エーテルかハイドラのほうがまだ良かったか?」

 そんな彼女に、グラは再び溜息を漏らした。……オクサの場合、エーテルのように誘惑するために脱いでいるのではなく、ただ無頓着なだけだ。それも、異性の前で裸になるのがどういうことなのか理解していない。そう考えると、気恥ずかしさはあるものの、ハイドラのほうが幾分マシだったかもしれない。

「あ、なんなら一緒に入るか? 折角だから裸の付き合いでもしようぜ」

「断るっ!」

 オクサの誘いを、グラは間髪入れずに断った。断固拒否の姿勢である。

「何だよ……兄貴も弟も、昔は一緒に風呂入ってたのに、最近は一人で入れって言うし」

「それは当然の反応だと思うぞ」

 ぼやくオクサに、グラは突っ込みを入れた。……年頃の男子であれば、彼女くらいの姉や妹と入浴したいとは思わないだろう。というか、思ったらそれはそれで問題である。

「というか、いくらなんでも無防備すぎるだろ。突然男の前で脱ぎだしたり、風呂に誘うとか」

「無防備って……分かったよ。一人で入ればいいんだろ?」

 仕方がないとばかりに注意するグラに、オクサは渋々脱衣を中断するのだった。

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