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剣士とビッチと美少女七人(エトセトラ)  作者: 恵/.
4の章 ~陸乙女と肥沃なる農業都市~
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気遣いできるボーイッシュガール/お尻の軽いビッチ


「さてと、んじゃまあ戻りますか」

 屋敷を出て。オクサはそう言いながら、家のほうへと歩き出した。

「……」

「グラたん? 大丈夫?」

「お気を確かに。グラ様が気になさることではありません」

 そして、彼女に続くグラたち。だが、グラはヘクスニア男爵との対話でショックを受けたのか、屋敷を出たときから無言だった。そんな彼を、エーテルたちが心配している。

「んだよ、女々しい奴だな。叔父さんに説教されたくらいでめそめそしてたら、妹なんか一生見つからねぇぞ」

「ちょ、そんな言い方……!」

「だって、そうだろ? 間違ってるって言われたくらいで凹んでたら、途中で挫折しちまうだろ。男なんだから、もっとしゃんとしろよ」

「それは……」

 そんなグラに、オクサは呆れ交じりでそう言った。正論過ぎて、エーテルやハイドラにも擁護のしようがなかった。

「……いや、その通りだ」

「グラたん?」

「グラ様?」

「おっ? ようやく目が覚めたか? こりゃ、張っ倒す手間が省けちまったか?」

 彼女の言葉に、グラは顔を上げた。それを見て、オクサは愉快そうに笑う。

「ああ。……元々、ナッタを見つけ出すのは困難だと分かっていたんだ。この程度のことで挫けていたら、ナッタに笑われる」

「へっ、そうこなくっちゃな。お前はあたしと互角に渡り合った男なんだ。それくらいの意気込みがなくてどうするんだよ」

 完全に立ち直ったグラの肩を、オクサはバンバンと叩く。……彼女なりに、グラを心配していたのだろうか。

「そんじゃあ、細かい話は明日にしようぜ。今日は休んでろよ」

「いや、一方的に世話になるのもあれだからな。少しは手伝うさ」

「いいのか? 結構な重労働だぜ?」

 オクサにそう申し出るグラだが、彼女は驚いたように返してきた。彼がそんなことを言うだなんて、思っても見なかったのだろう。

「ああ。これでも畑仕事は慣れてるんだ。たまには土に触れるのも悪くない」

「そっか。なら、頼むぜ。バリバリ扱き使うからな!」

 だがグラとしては、気分転換も兼ねて、久々の農作業がしたかったのだろう。そんな意思を汲み取ったのか、オクサは冗談めいた口調で(内容は恐らく本気だろうが)そう言った。

「なら、私も手伝うわ」

「私も手伝います」

「あー、お嬢さん方は止めとけ。正直、戦力外だ」

 グラがするのならばと、エーテルとハイドラも手伝いを申し出るのだが、オクサは手をひらひらと振って断った。……実際、二人に慣れない農作業は難しいだろうし、本音を言えば、オクサとしてもその面倒を見るのは手間なのだ。

「でも……」

「それよか、母さんを手伝ってくれよ。母さん、家のことだけじゃなくて、畑のほうでも働いてるからな。あたしも家事はちょいちょいフォローしてんだけど、お前らのほうが向いてるだろ?」

「……! そうね、そうさせてもらうわ」

「はい、喜んで!」

 しかし彼女は、母親のフォローを二人に頼んだ。彼女たちも、何か役に立ちたいと思っていたので、それに応えた形だ。

「うっし、そんじゃあ、いっちょ働きますか」

 そうして、彼らは労働で汗を流すのだった。



  ◇



 ……夕方。


「ん~! なんか今日は久々に働いた感じがするわね」

 オクサの家にて。エーテルは伸びをしながら、そんなことを漏らした。……彼女は元々宿屋の娘であったために、家事は割とできるほうであった。前にもアシッドで食堂を手伝ったが、給仕よりも、今日のような掃除や洗濯のほうが、仕事をしている気分になれた。

「でも……働いた後は、やっぱりあれよね」

 だが、彼女としてはまだ少し物足りなかった。……それは、彼女にとっての労働は、掃除や洗濯だけではなかったからだ。

「さすがに……これだけ男日照りだと、調子が出ないのよね」

 そう、男の相手も、彼女の仕事だった。しかも、エーテルの場合は趣味も兼ねていたので、この状況はストレスを溜めてしまうのだ。

「グラたんは淡白だし、手頃な男が近くにいたらいいんだけど……」

 彼女は今まで、グラについていたために、男遊びを控えていた。けれども、グラがエーテルに興味を示さないので、欲求不満が募る一方だった。そろそろ発散したいと思うのも無理ないのかもしれない。

「あ、そういえば……オクサのお兄さんとか、丁度いいかも」

 そこで彼女が目をつけたのは、オクサの兄だった。彼は若いし、日々の農作業で体が鍛えられているので、エーテルの好みにも合う。それに、どうせここにはそう長くいないつもりなので、後腐れもない。そういう意味で都合が良かった。

「ふぃ~。やっぱ、仕事の後の風呂は最高だな~」

「ふふっ、噂をすればなんとやら、ね」

 そんなエーテルの前に、都合よくオクサの兄が姿を現した。どうやら風呂上りのようだが……オクサたちがまだ戻ってないのを見るに、彼だけ早めに切り上げてきたのだろう。オクサは、家族のことを勤勉でないと評していたが、それはあながち間違いではないようだな。

「お兄~さんっ!」

「おっ、お客さんじゃねぇか。どうした?」

「ねぇねぇ、お兄さん……私と、い・い・こ・と、しない?」

「へ?」

 エーテルは上目遣いに、妙に色っぽい声で、そう言った。

「な、何を……?」

「何って、ナニよ? 例えば―――」

「ちょ……!」

 戸惑いながら後退る彼の手を取り、自身の胸に押し当てるエーテル。突然の行動に、彼は狼狽しながらも、抵抗する素振りを見せない。

「お兄さん、毎日畑仕事で、女の子と遊ぶことなんてあんまりないんじゃない? 結構溜め込んでるでしょ? だったら―――私と、イケナイ遊び、しない?」

「い、いいのか……?」

「駄目だったら、声掛けてないわよ」

「だ、だったら―――」

 簡単に誘惑にあっさり負け、彼は空いた手でエーテルの肩を抱き寄せようと手を伸ばし―――

「何やってんだよ、お前ら?」

「エ、エーテル様……!?」

「はっ……!」

 そして、聞こえてきた声で我に返り、彼女と距離を取った。

「兄貴、何やってたんだよ?」

「どういうことですかエーテル様……!? そのようなことを、それも、こんなところで……!」

「あの、ちょっと、落ち着いてハイドラ。これには色々と細かい事情があってね」

 不審な目を向けてくるオクサと、真っ赤な顔で抗議してくるハイドラ。二人は偶然、この場に居合わせてしまったらしい。

「言い訳されるのならば―――このことは、グラ様に報告しますっ!」

「ちょ、待ってハイドラ……! それだけは勘弁して……! ただでさえ難攻不落なのに、余計に攻略が難しくなるじゃない……!」

「……で、どういうことなんだよ?」

「それは、その、えっと……」

 グラに告げ口しようと立ち去るハイドラと、彼女を追い掛けるエーテル。残されたオクサの兄は、妹からの冷たい視線にたじろくのだった。

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