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剣士とビッチと美少女七人(エトセトラ)  作者: 恵/.
3の章 ~星乙女と虚無の鉱山都市~
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元気系改め人の話を聞かない系ヒロイン



  ◇



「ふぃー。やっぱカルバちゃんの料理は最高だな」

「さすがにこの量はきついけどな」

 あれから、男たちはカルバの料理を全て平らげてしまった。六人前なのでグラたちより量が多いし、それに加えて彼らの料理も平らげたのは驚異的だった。

「ほらねー、グラ君。男の子はこれくらい食べないとー」

「いや、こんなのを標準にされても困るんだが……」

 カルバの発言に、グラは顔を引き攣らせる。……男たちが平らげた料理は、軽く見積もって全部で二十人前近く。一人頭三人前だ。それを基準に考えたら、確かにグラは小食だろう。

「うぇっぷ……お、お腹が重たいです」

「これ、絶対後で後悔するパターンよね……体重計が怖いわ」

 一方、ハイドラとエーテルは腹を抱えて青褪めていた。未だに食べ過ぎから回復していないのだ。

「カルバちゃん、ほんとに作りすぎは止めて……」

「えー? でも、いっぱい作ったら必死に食べてくれるでしょー? そういうの見てると、頑張って作った甲斐があるなぁ、って思うんだー」

「カルバちゃん……」

「いや、いい話風に言ってるけど、それただの陰湿な嫌がらせだろ」

 カルバの言葉に感動するスルホンだが、グラは冷ややかな目でそう言った。……要するに、料理を食べようと四苦八苦している様子を見て喜ぶわけだからな。食べてる側からすれば嫌がらせ以外の何物でもないだろう。

「グラ君、そうやって女の子を傷つける発言はどうかと思うよー?」

「じゃあお前はちゃんと人の話を聞けよ」

「えー? ちゃんと聞いてるよー?」

「じゃあ料理作りすぎるな」

 話をちゃんと聞いているというカルバに、グラは辟易しながら突っ込んだ。

「それはそうと、これからどうするのー?」

「ほれみたことか、人の話を聞かない……」

「あ、そうだー。出前があるから、一緒に来るー? ついでに鉱山の案内とかするよー」

 グラの言葉を華麗にスルーして、カルバはそんな提案をする。

「今日も鉱員さんからの出前?」

「うんー。今日は新人さんが入ったみたいで、いつもより一人前多いのー」

 そしてスルホンは、カルバのスルーを更にスルーした上でそう尋ねた。……やはり慣れているのだろうか?

「それじゃあ、れっつごーごー♪」

 そんなわけで、カルバに連れられて、鉱山へと赴くこととなった。



  ◇



「それで、こっちが休憩室ねー。毎度ー」

 カルバに案内されてやって来たのは、鉱山にある休憩所。山の側面に掘られた坑道、その傍に設置されたプレハブ小屋で、鉱員たちの休憩室となっている。

「おぉ、カルバちゃん。そうか、もうそんな時間かぁ」

 休憩所内では鉱員が一人、書類整理をしていた。彼はカルバに気づくと、手を止めて彼女たちのほうへ振り向いた。

「まだみんな中にいるのー?」

「ああ、そうなんだ。っていうか、後ろの子たちは……?」

「あ、お客さんだよー。あと、スルホンちゃんが帰って来たのー」

「おっ、スルホンちゃんか」

 ここにもスルホンの知り合いがいた。……ほんとに有名人だな。というか、単純にご近所付き合いが盛んなだけか。

「中まで届けたほうがいいー?」

「そうしてくれると助かるよ。あ、ちゃんとメットはするように。後ろの子たちの分もあるから」

「はーい」

 カルバは人数分のヘルメットを手にすると、グラたちにそれを渡す。そして彼らは休憩室を出た。

「じゃあ、行こっかー」

「鉱山に入るのか?」

「うんー。大丈夫だと思うけど、一応気を付けてねー」

 言いながら、カルバは坑道に入っていく。グラたちもそれに続いた。



「うぅ……凸凹の道がお腹に響きます」

「うっ、吐き気が……気を付けてたはずなんだけど、当たっちゃったかしら?」

「大丈夫ー? ま、歩いてたら腹ごなしになるし、平気だよー」

 ハイドラやエーテルは未だに腹を抱えているのだが、カルバは軽い調子でそう流した。……坑道はある程度整備されているものの、過食の状態で歩けるほど整っているわけではない。彼女たちは辛そうだが、カルバに半ば強引に連れ出されたのだから、行くしかない。ご愁傷さまだ。

「鉱山の中はこうなっているんだな」

「そうだよー。他の地区だと露天掘りっていって、山の上から削ってくやり方もするんだけど、こっちだとこうやって穴掘るのが多いかなー」

 坑道を歩きながら、感想を漏らすグラに、カルバがそう説明した。……坑道内は真っ暗で、壁面に取り付けられたいくつものランタンと、カルバが使う点灯の魔法だけが辺りを照らしている。

「最近は新しいギア製品のお陰で結構楽になったらしいよー。昔は手で掘ってて、魔法技術の要なのに魔法は灯りだけってなってたんだってー」

「なるほどな」

「他にも、毒ガスが発生した時の対処もしやすくなったってー。相変わらずカナリアは重宝してるけどー」

 そうしてカルバは、グラに鉱山のことを話していった。元々お喋りなのか、グラに説明しているときの彼女は、料理を作っているとき以上に生き生きとしていたのだった。




「とうちゃーく」

 そうして彼らは、採掘現場へと辿り着いた。採掘現場では様々な機械が稼働し、鉱員たちが採掘作業に勤しんでいた。

「おっ、カルバちゃんじゃないか!」

「おいおめーら、飯の時間だぞー!」

 カルバの姿を見つけて、鉱員たちが集まって来た。

「はいはーい。みんなー、ご飯だよー」

 そんな彼らに、カルバは持ってきた弁当を配っていく。採掘作業で体力を消耗していた鉱員たちは、弁当を受け取るなり壁際に座り込んで食事を開始していた。

「うぅ……ちょっと休憩するわ」

「わ、私も、限界です……」

「だ、大丈夫……?」

 一方、エーテルたちは力尽きて、その場にへたり込んでしまった。そんな彼女たちをスルホンが介抱しようとしている。

「……ん?」

 そんな中、異変に最初に気付いたのはグラだった。―――洞窟内に響き渡る小さな揺れ。それは地震か、それとも崩落の予兆か。とにかく、危険な状態であることは明白だった。

「な、なんだ……!?」

「地震か……!?」

「てめぇら落ち着け……!」

 揺れはやがて大きくなり、鉱員たちにも動揺が広がった。現場主任らしき男が指示を飛ばすが、混乱しているのか誰も耳を貸さない。

「きゃっ……!」

「カルバ……!」

 そんな状態で、グラは更なる異変を察した。……弁当を配り終え、ちょうど一人きりになっていたカルバ。彼女の足元の地面にひびが入り、今にも崩れようとしていたのだ。

「くっ……!」

 最早逡巡している暇もなかった。グラは全力疾走でカルバに突撃する。

「きゃあぁーーー!」

「カルバちゃん……!」

「グラたん……!」

「グラ様……!」

 しかし、それでも間に合わず。グラはカルバと共に、地面に空いた穴に落ちて行った。

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