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剣士とビッチと美少女七人(エトセトラ)  作者: 恵/.
2の章 ~巫女と鉄の工業都市~
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そして新たなる舞台へと


「あ、あの、皆さん……」

 話し合うグラたちの前に、スルホンがやって来た。どうしたのだろうか?

「スルホンちゃん、どうしたんですか?」

「えっと、その……ポリスさんに言われて、皆さんを案内することになりました」

「……本当か?」

 ハイドラに問われて、スルホンがそう答えた。どうやら、彼女がグラたちをアシッドへと案内することになったらしい。だが、何故ポリスがそんなことを……?

「は、はい……学校も丁度長期休業に入るので、ついでに帰省するように言われました」

「なるほどね」

 しかし、その理由は至極簡単。学校が休みなので、これを口実に帰省させようということらしい。……彼女はここ数日ほど学校へ行っていない様子だったのだが、単純に休みだったからなのか。

「じゃあ、早速明日から頼んでいいか?」

「は、はい……!」

 というわけで、スルホンを仲間に加え、彼らはアシッドへと向かうのだった。



  ◆



 ……少しだけ前。


「スルホン、どうしたんだい?」

「ポリスさん……」

 町の案内を終え、工房に戻って来たスルホン。そんな彼女に、ポリスが声を掛けた。

「あの、えっと……」

 スルホンは、ポリスに事情を話した。グラに聞かれたこと、そして彼の妹がアシッドにいるらしいということ。

「それで、その……グラお兄さんに、アシッドを案内したくて」

「それは、彼に頼まれたのかい?」

「い、いえ……で、でも、迷惑掛けたのに何も出来てなくて―――せめて、それくらいはしたいんです」

 スチレを案内することで、グラは彼女の償いとした。だが、スルホンとしてはその程度では罪悪感が晴れない。であるならば、彼のために何かしたいとなるのは自然な流れだった。

「そうかい……なら、行って来ればいいんじゃないかな?」

 そんな彼女の心情を察して、ポリスはそう言った。

「で、でも―――」

「学校は休業中だし、たまには里帰りしておいで。ご両親も寂しがってるだろうから、顔を見せてあげないと」

 スルホンが行きやすいよう、口実を用意してやる。そうなれば、彼女は必然、行くしかない。最早気にすることなど何一つないのだから。

「わ、分かりました……」

「うん、行っておいで。ゆっくりしてくるといいよ」

 そうしてポリスは、グラたちの元へ向かうスルホンを見送った。

「……結局、あの子はああなる運命なのかな」

 そして一人になり。ポリスは、誰にともなく呟いた。ここから先は、完全に彼の独り言だ。

「折角アシッドから出てきたのに、またこんなことに……どうあっても、あの子は狙われるしかないのかな」

 スルホンは、生まれ故郷のアシッドにいる頃から、何者かに狙われることが多かった。いずれも未遂ではあったが、心配した両親が彼女をスチレに寄越したのだ。幸い、スルホンはギアの技術を学びたがっていたので、そういう意味でも丁度良かったのだ。

「今までは何とかなってたけど、この分だと……少し、考え直したほうがいいのかな?」

 そんな理由もあり、ポリスはスルホンを預かることとなったのだ。彼女の両親とは親交があったし、彼女自身も優秀だったので、弟子にするのは寧ろ歓迎だった。だが、スチレに来ても相変わらずその身を狙われ続けているのであれば、今後はどうするべきか考え直す必要が出てくるだろう。

「まあでも、今更追い返すわけにもいかないかな」

 だとしても、彼女はもう既に彼の弟子だ。どこにいても同じというなら、スチレに残らせるのも悪くはない。問題なのは、ポリスに彼女を守れるかということなのだが。

「とりあえずは、故郷でゆっくりしてくれればいいかな」

 そうやって、ポリスは独り言を終えるのだった。



  ◇



 ……翌日。


「じゃあ、行くか」

「ええ、グラたん」

「はい、グラ様」

「は、はい……グラお兄さん」

 朝、グラたちは工房を出る。これからアシッドへと向かうのだ。

「みんな、気を付けるんだよ」

「はーい」

 ポリスに見送られて、彼らは動き出した。向かう先は、スチレの南西側出口、アシッドへ向かうためのゲートだ。

「アシッドまではバスがあるんだっけ?」

「は、はい……アシッドまでは直通のバスが出ていて、今からならお昼までには到着するはずです」

「相変わらず凄いな……」

 アシッドはスチレとも関連が強いので、直通のバス路線が敷かれている。お陰で移動は比較的楽だ。徒歩なら数日は掛かる距離だが、バスならば数時間で到着してしまうのだから。

「アシッドって、どんなところなんだ?」

「えっと、町全体が鉱山っていうか、鉱山の中に町があるって感じです。男の人たちは大半が鉱山で働いて、女の人たちはお店をやって、そうやってみんなで支えあって暮らしてます」

 鉱山都市の名に違わず、町の主要産業―――というかアシッドでは属性石の採掘以外、まともな産業がない。必然、町の住民は、その大半が鉱山での作業に従事することとなるのだ。他の住民も、鉱員の生活をサポートすることで生計を立てるわけで、鉱山こそが町の生命線と呼んでも過言ではない。

「なるほど……俺の故郷もそんな感じだったな。皆、畑仕事に追われていた」

「そうなんですか。グラお兄さんの故郷って、どこにあるんですか?」

「……まあ、アシッドよりは南のほうだな」

「じゃあ、王都のほうですか?」

 つい故郷のことを口走ってしまったグラだが、スルホンが予想外なほど食いついてきて困惑してしまう。……彼の故郷―――というか生まれ育ったのは、辺境の村だ。それを明かすということは、彼が魔神だとばらすことになる。

「あっれ~? スルホンったら、グラたんのことに興味津々じゃない?」

「え、あ、う、そ、そんなこと、ない、です……」

 しかし、エーテルにからかわれて、スルホンは赤くなりながら引っ込んでしまった。

「……悪いな」

「いいのよ別に。どうしてもお礼したいなら、後でキスして♪」

「馬鹿言え」

 今のは、グラを助けるために、エーテルがお節介を焼いたのだ。グラはそれを察して礼を言うのだった。

「……それにしても。グラたんの妹がアシッドにいるんだったら、グラたんの故郷ってアシッドなんじゃないの?」

「かもな。けれど、実際に行ってみないことには分からんさ。そうでなきゃ、そもそもこうやって国中を旅してない」

「そうよねぇ……ま、その辺は着いてからのお楽しみってことかしら」

「だな」

 果たして、アシッドには妹がいるのか。期待と、一抹の不安を胸に、彼らはアシッド行のバスを目指した。

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