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剣士とビッチと美少女七人(エトセトラ)  作者: 恵/.
2の章 ~巫女と鉄の工業都市~
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今頃本筋へと



「スルホン」

 自責の念に囚われたスルホンに、グラが言葉を掛ける。

「奴らはお前目当てに行動して、結果的に周りを巻き込んだ」

「ちょ、グラたん……!」

 スルホンを非難するようにもとれる言動に、エーテルは咎めるように声を上げた。

「それは純然たる事実だろ。それに、本気で反省してる相手に「お前は悪くない」なんて言っても、苦しめるだけだ」

「そ、そうだけど……」

 だが、グラはそう言って、彼女の言葉を跳ね除けた。彼は続ける。

「それで、だ。……スルホン、お前はどうする?」

「あ、う、えっと、その……」

 グラに問われて、スルホンは答えに窮した。突然そんなことを聞かれても困るに決まってる。何せ、彼女はただ謝りたかっただけなのだから。罪悪感を払拭したいがために謝罪しただけなのだ。

「悪いことをしたなら、それを償うのが道理だろ」

「あ……」

「というわけで、だ」

 罪悪感に囚われたままのスルホンに、グラはこんなことを言った。

「俺たちへの償いとして、俺たちに町を案内してくれ。それで全てチャラだ」

「え―――」



  ◇



 ……翌日。


「ね、ね、スルホン、あれ何?」

「えっと、フランクライド時計台、です。町にある一番大きな時計台で、作られたのは五年前で―――」

 スチレの町を練り歩くエーテルたち。前日の要望通り、スルホンに案内してもらっているのだ。特にエーテルは念願のスチレなので、はしゃいであちこち目移りしている。下手をしたらそのままはぐれそうな勢いだった。

「この辺りは初めて来ました。あ……スルホンちゃん、あの屋台は何ですか?」

「えっと、あれはお好み焼きといって、小麦の生地にキャベツを混ぜて焼いたもので―――」

 一方のハイドラは、屋台の食べ物に興味津々な様子。セルロにも様々な屋台が並んでいたからな。それなりに馴染みがあるのだろう。

「丁度いいし、お昼はあれにしない?」

「賛成です」

「そうだな」

 そんなわけで、みんなで屋台の料理を買って、近くのベンチに座って食すことに。

「はむっ……うんっ! ソースが濃厚でおいしいわっ!」

「キャベツもしゃきしゃきでおいしいです」

 スチレの名物料理は、女子たちにも好評だった。エーテルなど、口の周りをソースだらけにするほどだ。

「ほぅ……確かに、これはうまいな」

 グラもお好み焼きが気に入ったらしく、夢中で頬張っている。

「……」

「? スルホン、どうした?」

 だが、隣に座ったスルホンが無言なのに気づいて、グラは声を掛けた。食べるのに夢中なだけならともかく、手元のお好み焼きは全然減っていなかったのだ。

「……こんなことで、許されて、いいんですか?」

「言っただろ。これがお前の償いだ。物足りないだろうが、こちらとしてはそれ以上お前に要求するものなどないからな」

 償いとして町の案内をするものの、それでも罪悪感を拭えないスルホン。しかし、グラたちには彼女に求めるものが他にないのだ。そればかりはどうしようもない。

「まあ、どうしてもというのなら、少し協力してくれ」

「協力、ですか……?」

「ああ。実は人を探していてな。知っていることだけでも教えてくれればありがたい」

 そんなスルホンに、グラは妹のことについて尋ねる。……町に到着して早々借金問題に取り組んでいたため忘れそうになったが、そもそも彼の目的は生き別れた妹を探すことである。その目的にやっと取り掛かれるのだ。

「名前はナタリーアクト、歳は十八だ。この町にいるかは分からんが、いないならいないで別の町を探せばいい。とにかく、何か知っていることがあれば教えて欲しい」

「ナタリーアクト……えっと、大切な人なんですか……?」

「生き別れた妹だ」

「そう、なんですか……」

 生き別れと聞いて俯くスルホンだが、彼の要望に応えようとすぐに顔を上げた。

「えっと、この町では聞いたことないです……けど」

「けど?」

「えっと、その……その名前、どこかで聞いたような」

「本当か!?」

 スルホンの呟きに、グラは思いっきり食いついた。今まで探し求めていた妹の情報なのだから、そうなるのも当然だろう。

「きゃっ……!」

「わ、悪い……だが、それは本当なのか?」

 思わずスルホンに飛びかかりそうになったグラは、彼女に謝罪しつつもことの真偽を確かめようとする。

「え、えっと……ナッタ、っていう名前なら、実家の近くに住んでるお婆さんが口にしてましたけど」

「ナッタ……それに間違いない。妹の愛称だからな」

 そして、遂に手掛かりを手にしたグラ。今まで探し求めていた妹の痕跡をようやく見つけたのだ。

「それで、スルホンの実家っていうのは? スチレなのか?」

「い、いえ、アシッドです……鉱山都市アシッド」

「アシッドか……」

 スルホンの故郷は、スチレの南西に位置する鉱山都市アシッド。大陸の中央にある属性石の産地で、スチレと並び、オガーニ王国の魔法技術を支える重要な都市の一つだ。

「というか、スルホンはアシッドの出身なのか」

「は、はい……ギアの技術を学ぶためにこっちに出てきましたけど、生まれはアシッドです」

 工房で働きながら、ギアの専門学校に通うスルホン。彼女は勉強のために故郷の離れたのだな。

「となれば、行かないとだな」

 妹の所在が分かるかもしれないのだから、グラとしては今すぐにでも向かいたいところだった。



  ◇



「え~? もう移動するの?」

「さすがに唐突なのでは?」

「……お前ら、俺の目的忘れたのかよ?」

 というわけで、工房に戻って。グラは明日にもアシッドへ向かうという話をエーテルたちにしたのだが、彼女たちの反応は芳しくなかった。……そもそも彼は妹探しのために旅をしているのであって、彼女たちはそれに同行しているに過ぎないのだが、やはり急すぎたか。

「俺はナッタを探すために旅をしているんだ。文句があるなら置いていくぞ」

「分かったわよ、もぅ……折角、念願のスチレに来たんだから、もっと満喫したいのに」

「グラ様がそう仰るのならば、従う他ありません」

 とはいえ、エーテルもハイドラも、グラから離れる気などない模様。エーテルは渋々、ハイドラもそれほど不満はない様子で、彼の方針に従った。

「でも、本当にアシッドに妹がいるのかしら?」

「それを確かめに行くんだろ。……問題なのは、スルホンなんだよな」

 だが、彼にはスルホンのことが気懸りだった。

「そうよね。キシール金融に狙われたばっかりだし、置いていくのは不安よね」

「それもあるが、スルホンには案内を頼みたいんだよな。だが、あいつには学校もあるし、あまり束縛したくない」

 アシッドにいるという、ナッタについて知っているお婆さん。だが、その人物がどこにいるかはスルホンでないと分からない。しかし、彼女も学生なのだから、そう簡単にスチレを離れることはできないだろう。

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