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剣士とビッチと美少女七人(エトセトラ)  作者: 恵/.
6の章 ~空乙女と硝煙の軍事都市~
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クール系おねいさん

「ここがバイオ……」

 バイオに入った彼らを出迎えたのは、賑やかな繁華街だった。バイオの入り口付近は繁華街になっていて、かなり繁盛している。

「この辺は兵士よりも、武器商人や旅行者向けの店が多いな。この奥に行くと商店街、更に奥には武器屋が立ち並んでる。そしてその先―――町の南半分が軍事施設だな」

 町を歩きながら、グラはエーテルたちに説明していた。とりあえず、適当な食堂に入り、昼食を済ませることにする。

「なんか、ここらのお店、どこもガッツリ系なところばっかね……」

「兵士たちも利用するからな。ここはそうでもないが……一応、な」

 メニューを見ながらそう呟くエーテルに、グラは遠回しに注意を促した。……兵士がよく利用するということは、会話を兵士に聞かれる可能性がある。そもそもここは兵士のためにある町なので、色々と危ない発言をするエーテルには予め釘を刺しておかないといけないのだ。

「分かってるわよ。私だってそこまで馬鹿じゃないし。それより、早く注文しましょう。歩きすぎてお腹空いてきたわ」

 彼の発言、その真意を察した上で、エーテルはそう返した。……訓練でエネルギーを使う兵士だけでなく、旅行者も利用するが故に、メニューもそれを意識したものになっているのだろうか。

「じゃあ、この辺の料理適当に注文しようぜ」

「そうですね。では、こちらのピザと―――」

 ハイドラは料理を選ぶと、近くの店員を呼んで注文した。



  ◇



「さてと、行くか」

 昼食後、彼らは目的地へと向かった。繁華街を出て、商店街を抜け、武器屋街まで向かう。

「それで、その人って誰なの?」

「ああ、武器商人のアセターって奴だ。まあ、どんな奴かは会ってみれば分かるさ」

 その道すがら、エーテルに聞かれてグラはそう答えた。……彼が妹の捜索を依頼していたのは武器商人。故に、武器屋街へと向かっているのだろう。

「でも、グラたんが頼みごとをするくらいだから、それなりに仲が良いんでしょ? しかも、名前的に女の子っぽくない?」

「言われて見れば……確かにそうです」

「つーことは……要はあれか? そういうことか? ん?」

 エーテルの発言に、ハイドラは戦慄し、オクサは面白そうに小指を立てた。……男女の機微には疎いオクサすら、そんな反応を示しているのだ。彼女たちには、グラとそのアセターという女性(?)が、余程親密に思えたらしい。

「言っておくが、俺とあいつはそういう関係じゃないからな。俺が偶然出くわした事件の関係者で、その縁で色々と手伝ってもらっただけだ」

「そうかしら? グラたんって女たらしだし、グラたんは何も思ってなくても、向こうは……ってこともありえるわよ?」

「おいこら、誰がたらしだ」

 そんな彼女たちの考えを否定するグラだが、エーテルは真面目な顔でそう言った。……まあ、エーテルを(性的な意味で)魅了し、ハイドラ、そしてアシッドのカルバからも好意を寄せられているのだ。たらしと言われるのは心外なのだろうが、間違ってはいない。

「それで、その人のところにはまだ着かないの?」

「もうすぐそこだ。ほら」

 グラが指差したのは、通りの一画にある武器屋だった。他の店よりも小さなそこには、「グルング武器商店」という看板が掛けられていた。

「入るぞ」

 店に入ると、中には沢山の武器が並べてあった。壁にはギア内蔵型の銃やら鈍器やらがずらりと立て掛けられ、棚には軍事魔法のカートリッジが収められている。分かっていたことだが、ここが武器屋であることを否応なしに思い知らされる。

「アセター、いるか?」

「……おや、久々の客だと思ったら、あんただったのかい?」

 グラの声に、店の奥から女性が出てきた。……短く切り揃えた赤毛が特徴的な、冷たい印象の女性だ。革製のつなぎを身につけ、そのスレンダーな体型を露にした彼女は、切れ目がちな瞳をグラに向けている。

「久しぶりだな、アセター」

「そうさね。けれども、また会おうとは言ったものの、こんなにすぐに会えるとは思ってなかったな」

 アセターはやや古風な口調で、グラの言葉を肯定しつつ、驚きを口にした。

「そんで、そこのお嬢さんたちはあんたの連れかい?」

「ああ。旅の途中で知り合って、同行することになった」

「なるほどねぇ。まあいいや、とりあえず奥に入んな。その辺の話はこっちで聞かせてもらおうじゃないか」

 そしてアセターは、店の奥を指差した。



「ちょっと待ってな」

 店の奥にあるリビングに入ると、アセターはギアを取り出した。

「エアーウォール」

 周りに聞こえないくらいの小声で魔法を発動させる。すると、この部屋を微風が包み込んだ。

「今のは……盗聴防止のエアーウォール?」

「ああ。ここは兵士のお膝元だからね。ましてやうちは武器屋、叛乱を起こされると面倒な人間さ。そうなれば、盗聴の可能性を常に意識して然るべきなわけでね」

 そう言いながら、アセターはグラたちに椅子を勧めた。

「にしても……一人や二人ならともかく、三人か。あんたも随分とたらし込むようになったじゃないか」

「どうしてお前らは俺を女たらしにしたいんだよ……?」

 椅子に着いて茶を出すと、アセターはグラをからかった。直前にもエーテルたちにたらし呼ばわりされていたので、グラは辟易としている。

「とりあえず、自己紹介しましょう。私はエーテル、よろしくね」

「私はハイドラです。よろしくお願いします」

「あたしはオクサ。よしろく」

「おやおや、これはご丁寧に。私はアセター、聞いての通り武器商人さ」

 そんなグラに助け舟を出すように、少女たちは自己紹介を始めていた。あまり彼を虐めるつもりはないのか、アセターもそれに応える。

「なるほどなるほど……三人とも全然違うタイプだね。そっちの金髪はいいとこのお嬢様、セルロの貴族―――大方、エタール家辺りの出身だろ?」

「え……?」

「んで、そっちの短髪はトレハの農家」

「な、なんで分かったんだよ……?」

 唐突なアセターの言葉に、ハイドラとオクサは困惑した。……初対面の人間に出身地を当てられれば、戸惑うのも当然である。

「ま、長年の勘って奴さ。このバイオには各地から兵士が集まってくるからねぇ。でもって、そのツインテールはアシッドの町娘って感じかい?」

「違うわ。私は王都出身よ」

「おや……」

 得意げに話すアセターだったが、エーテルの出身地を外してしまう。

「珍しいな。あんた、客の出身地を的確に当ててただろ」

「そうさね……私もまだまだってことか」

 外してしまったことが余程ショックなのか、アセターは悔しそうにそう言うのだった。

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