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異界を斬る  作者:
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「魔法とは、神のご加護を具現化した物であり、我々が扱うことを許された神の御業なのです」

 翌日、早速神殿を訪ねた桜田は神官から魔法の講義を受けていた。

 先に適性を確認してもらおうかとも思ったのだが、魔法という未知の力がどういうものか、たとえ自分に適性が無くともその理を理解しておきたい、新しい世界を覗いてみたいという欲求に素直に従った。

「そして魔法とはこの世界が瘴気に侵されぬ為に、また迷宮に閉じ込めている魔物と戦う為に、我々に遣わされた神の奇蹟そのものなのです」

 老いた神官は両手を広げて朗々と語る。

「しかし魔法はその力の強大さ故、誰もが扱えるという訳ではありません。適性のない者には扱えないのです。ですが、神は適性を持つ者を出身地やその身分の貴賤など問わず、公平に誕生させて下さいます。そう、神は常に我々を平等にお導き下さるのです」

 語り終えた神官は目を瞑り、天を仰いで神に祈りを捧げた。

 今まで神の力などに接する機会の無かった桜田には、中々興味深い話であった。

 疑おうにも実際に魔に魅入られた者の末路を見ており、神の力という物がこの世界に(もたら)す影響力の大きさは疑いようがなかった。

「さて、では魔法の種類についてですが」

 祈り終えた神官が一つ咳払いをする。

「魔法には、火・風・水・土と四つの属性がありますが、この内で伝授出来るのは、火・風・水の三つの属性となります。土の属性に関しては神官でないと扱いを許されません。瘴気を浄化出来る土の属性魔法は神聖魔法として扱われる為です」

 なるほど、と頷いた桜田に神官は一枚の紙を取り出した。

「各属性魔法の詳細はそちらの用紙に纏めてあります」

 手渡された用紙には、各属性魔法の詳細とその値段が書かれていた。

 安い物で金貨一枚、高い物だと大金貨十枚になる。これが高いのかそれとも安いのか、桜田には分からなかったがこんな物なのだろうと用紙を懐に仕舞った。

「ご教示有難うございました」

「いやいや、神の示された道をお伝えする事も我々神官の仕事ですので」

 桜田の礼に神官は笑顔で答える。

「折角ですから魔法の適正確認をされますか?」

「是非お願いします」

 目を輝かせた桜田の返事を受けて、笑みを浮かべた神官は少々お待ち下さいと席を外した。

 


「お待たせ致しました」

 戻ってきた神官は手に持っていた小箱をテーブルに置くと、中から羽二重の様な滑らかな布地に包まれた小さな鏡を取り出した。

「ではサクラダさん、両手を出して下さい」

 差し出した桜田の両手に、その小さな鏡が乗せられる。

「心を静めてください。そのまま鏡に己を委ねて……」

 神官の言葉と共に鏡面が淡く光り始める。

「そう、鏡に映るのは貴方の内なる力、貴方に遣わされた神の御業が具現します」

 淡く光る鏡面が次第にその輝きを増していく。

「こ、これは」

 予想外の輝きに戸惑う神官を余所に、尚も鏡面はその輝きを増し続ける。

余りの眩しさに思わず目を瞑る桜田と神官。

 部屋を包み込むように広がった光が、大きく弾けるとやがて収束していく。

 目の前で起こった出来事に魔法とは大したものだと感心しきりの桜田は、結果はどうだったのかと神官に期待の眼差しを向ける。

 光が収まってからも暫く呆けていた神官は、自分に注目している桜田の視線に気付き慌てて居住まいを正すと、こほんと一つ咳払いをした。

「サクラダさん、貴方は素晴らしい魔力をお持ちです。たとえ魔導騎士であってもここまで大きな魔力を持っている者はまず居ないでしょう」

 大仰に頷きながら話す神官に桜田の期待が高まる。

「ですが」

 と前置きをした神官の表情が陰りを帯びる。

「残念ながらいずれの属性も具現しませんでした。貴方には魔法の適性はありません」

 非常に残念ですと頭を振る神官に、桜田は大きく肩を落とした。


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