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第3話 助手も死にそう

「お前、頭、おかしいだろ。」


 四葉は、本当に腹が立つ。

狼狽えながらも私への罵詈雑言は止まらない。

頭が悪いくせに、悪口だけは達者だ。


「獣よ、お前こそいいのか?

今、二階堂の身体は私が預かっているんだぞ?」

「くっ……!」


 この際、死体でも使えるなら使おう。

この獣は中身は脳足りんのでくの坊だが、

身体能力は戦車並みだ。

それに、探偵も助手も偽者より、

助手は本物の方が後々都合がいい。


「しかも、二階堂になにかあれば、

お前はすぐにどこかの財閥に捕まるだろうな。

そうなれば、また研究所送りだぞ。」


 四葉の顔が曇る。

四葉身体について、

まだまだ分からないことが多い。

誕生日も、両親すら分からない。

宗教団体が、

どういう身体に何をしたのかすら不明だ。

 そして、その結果この小型人間戦車が生まれた。

軍事にからむ財閥に製薬会社、

国すら四葉の身体について興味津々だ。

 今は二階堂が上手く保護してるが、

二階堂の死後は無理だ。

警察も財閥当主たちも二階堂に多大な借りはあるが、

その死後四葉を助けるか、と言えばノーだろう。

 私は二階堂は生きている事にして、

コイツを従えて次の探偵を探すつもりだ。

我ながらいいプランだ。


「選べ、獣よ。

私に協力するか、

私を告発して破滅するか。」


 眉間にシワを寄せ、

梅干しのような顔で頭を悩ませる四葉。


「あ、アタシは頭がよくない。

でも、先生が助かるなら、協力する。

ノーフェイス、絶対に先生を助けるか?」


 苦々しくも、しっかり私を睨む四葉。

本当に嫌いだ。


「アレは重傷だ。

全力は尽くすが、命の保証はできない。」

「ペテン師が。

畜生めっ。」


 悪態のボキャブラリーだけはあるもんだ。

本当に嫌なガキだ。

私は追加の提案をする。


「わかった。

ならば、こうしよう。

 もし、二階堂の命が助からなかったとしても、

しばらくは私は二階堂として活動するつもりだ。

その間のお前の身柄は保証する。

 更に、二階堂の死亡を公にするときに、

お前の死亡を偽装してやろう。

別人の戸籍、別の家をお前にやる。

仕事もつけよう。

どうだ?」


 四葉の顔が更に歪む。


「アタシの事はどうでもいい……!

先生が助かるなら、何でもする!」

「ど阿呆。

普段から二階堂の話を聞いてないな?

 二階堂はお前を助けるために、お前を引き取った。

お前を助けるために、お前に教育を施した。

 それは全部、

『お前が一人になっても生きていけるようにするため』だ。

お前はそれらを、

二階堂の思いすら捨てるというのか?」


 四葉の顔が白紙になった。

何故だ?

何故そんな顔をする?


「……ノーフェイスから、そんなこと。

頭おかしいくせに……。」

「二言余計だ、ど阿呆。」


 本当にコイツ、嫌いだ。

頭が悪くてもそれくらい分かれ。

いや、頭が悪いからと、言い訳をして、

『考えること』から逃げるのがダメだ。

 それがどういう感情から来るものかは知らんが、

二階堂の行いは基本全て四葉のためだ。

警官に協力し、財閥に顔と媚を売る。

その頭脳を他人のために使い、時には身体も張る。

二階堂はどれも四葉のことを護るためにやっている。

 それを、捨てると?

何も考えもせずだ。

何の美談にもならん!

ただのど阿呆だ。

本当に腹が立つ。

大嫌いだ、コイツ。


「……わかった。

手伝う。」


 渋々、四葉は言葉をひねり出した。

よし、言質は取った。

私は右手を前に出した。


「では、握手だ。

しばらくはよろしく頼むよ?」

「私になにかしたら、ただじゃ済まさないぞ?」

「皮と骨しかないチビガキに興味はない。

筋骨隆々な長身金髪美女になってから言え。」

「変態め!」


 私と四葉は握手した。

一時的だが、これで共犯だ。

 私は四葉から手を離して、

また二階堂に変装した。


「なんで変装する?」

「外へ出るためだよ。

もう日が昇る。

『カフェー・ピポポタマス』のマスターが来る時間だ。

朝の挨拶をして、

モーニングを断ってから眠るのが二階堂だ。」


 店主は何を思ってこの店名にしたのか。

私には分からないセンスだ。


「……確かに。

いやいや!

なんで、お前が先生のことをそこまで知ってる?」

「四葉くん、君は寝てなさい。」

「クソッ。

先生の顔と声で言うな。」


 ムカついた私は声だけ戻す。


「この顔で私の声だと違和感凄いぞ?」

「うわぁ!

ホントだ!

それ止めて!

気持ちが悪い!」

「……。

では、おやすみ。」


 苦虫を噛み潰したような顔の四葉を残して、

私は探偵二階堂として事務所を出た。

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