序章④~カコトキョウ~
何だかんだでもう4話目です。
今回少しシリアスっぽくなります(一時的)
先程からカノンに話しかけているが何の反応も示さない。
「返事が無い、只の屍のようだ」ぐらいにリアクションが無い。
先程から俺の渡して謎の本をずっと読んでいる。
わかったのならこちらにも教えて欲しいものなのだが……
俺は意を決してカノンに話しかけることにした。
「おーい、カノン。その本には何が書いてあるんだ? 」
「・・・・だから、これがそれであれが・・成る程そういうことですか。ということは次のページで」
返事がありません。
流石に俺も我慢の限界が来ているようだ。
とりあえずもう一度話しかけてみることにした。
「おーい、カノン。その本には何が書いてあるんだ? 」
「・・・これをするならばとりあえずアレとコレとあの紙が必要になりますか」
マジで返事が無い。
まさかのこれが反抗期か!?
クソッ!見誤ったぜ。まさか悪魔にも反抗期があったんなんて……
「ってあるわけねえだろ、コノヤロウーーーーー!!!!! 」
「ひゃうっ」
パタッ
あ、気絶した。
まさかの自分のツッコミが声に出ているとは思わなかったぜ。
そんなすさまじい程の音量がでていたんだろうか?
まあいいか、とりあえずコイツを何処かへ運ぶとして、この本は結局何について書いてあるんだ?
「んー、確かこの絵の挿絵の魔方陣らしきもの何処かで見たんだよな……何処だったっけ? 」
どうせ文字が読めないのだから内容云々よりも俺が注目したのは本の中の挿絵だ。
昔に一度この家の何処かでそんな形の魔方陣を見た気がする。
あれは、そう確か十年前……〝アイツ等〟に初めて会った時に見た気がする。
そうだ!!確か地下室にあった筈だ!!
『思い立ったが吉日』という諺があるように、すぐ実行に移してみる。
* *
で、現在俺は家の地下室にいます。
何故地下室があるかって?…そりゃあ、面白いからに決まっているだろう!!
まあ、以前から秘密基地的なものに憧れていたからな、もう相当昔だけど。
ちなみにこの地下室は核シェルターも兼ねており、けっこう頑丈だぜ☆
あれ?何かテンションで☆を使ってみたものの気持ち悪かったので却下。
とりあえず謝ります、誠に申し訳ありませんでした。
勝手に一人で妄想コントをしていると、問題の魔方陣を見つけた。
それはそう…例えるなら某錬金術師が活躍する漫画で人体練成をする時の練成陣とイメージしてもらっても刺し違えの無いと思う。
とにかく観察してみると、どうやらそれは真っ赤だが人の血などではなく普通の赤の水性絵の具で書かれていた。
魔方陣を絵の具で書くってどうよ?
「とりあえず問題のモノも見つけたし一度戻るか。カノンも心配だし、と言う前にこの本の内容も聞きたいし」
俺は戻ろうと立ち上がろうとすると、床に散らばっていた金属片で指を切ってしまった。
実は俺の家の地下室は俺の実験室も兼ねていて、日々非合法な実験が行われている……わけでもない。
しかし、銃器の開発はしているので一応非合法なのだろう。
まあ、ばれない内は何をしても合法だけどwww
どうやらだいぶ深く切ったようで、そこから血が流れて来た。
「あー、血が出てきたし。まあ、舐めときゃ治るだろう」
と言いながら部屋を出て行こうとしたのだが、指から出てきた一滴の血が指先を伝わりそれが運がいいのか悪いのか魔方陣の中に落ちていった。
その瞬間魔方陣が輝きだし、辺り一面眩い真っ白な光に包まれていった……
だいぶ視界が回復してきたみたいなので目を開けて魔方陣の方を見てみるとそこには今まであった空気の代わりに
〝二人の男女〟が立っていた。
「お久しぶりです、我が主よ」
「久しぶりーカイ君、元気にしてた? 」
一人は俺と同じような漆黒の髪の歳は二十代前後であろう青年だった。
そして、もう一人は深紅の髪に深紅の目の俺と同年代の少女だった。
「お前等…………誰だっけ? 」
その瞬間2人から「ズルッ」という効果音が聞こえた気がする。
気のせいだろうか?
「あ、あれ?カイ君、私達のこと忘れちゃったの? 」
涙目で聞いてくる美少女。
全く記憶にございませんよ、
こんな美少女とフラグを立てた覚えなんて……
あったら忘れませんよ、絶対に
「ふむ、確か我等はあの時姿を変えていたのではなかったか、〝レヴィアタン〟? 」
「あー!!確かそうだった気がする……。え~と、確かあの時は……コレだ!! 」
そう美少女が言うと再びあたり一面が眩い光に包まれ、光が晴れそこに居たのは、
「あれ?お前は…… 」
「やっと思い出してくれたかな、〝私達のマスター〟? 」
この顔何処かで見たことがある気がする。
そして、このセリフも以前に聞いたことがある。
いつだっただろうか?
思い出そうとするが思い出せない……
その瞬間断片的にだが、記憶が頭の中を過って行く
代償はお前の両親の命だ――――
ふざけるな!!代償なら俺の命でいいだろ!!―――
コイツと話しても意味がないな。とりあえず眠ってろ―――
っくそ、お前を絶対殺し…て……やる―――
確かに代償は貰ったぞ、ではこれから宜しく、〝我等の主〟よ!!―――
何だこれは?
俺はこんなものなんて知らない、
だって両親は海外へ出張中だって言ってたじゃないか
それにちゃんと毎月俺の口座に金を振り込んでくれてるじゃないか
違う、こんなのは嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!
「あああああああああああああああああああああーーーーーーー!!!!! 」
「ちょっとカイ君、大丈夫!?〝サタン〟!早くカイ様を!! 」
「ああ、分かっているさ!!主よ少し眠ってください……睡眠」
その瞬間俺の意識は闇の中へ落ちていった……
* *
「何であの時の記憶が残っているの!!確かあれは貴方が消したんじゃないの!! 」
「ああ、確かにあの記憶は消した筈だ」
そう、それは悪魔と契約する際に必ず契約者を試すために見せる最も最悪な悪夢。
常人が見れば発狂間違いないであろうという内容のものだ。
種類は様々だが、我等の主は最も最悪な生贄の悪夢を見たようだった。
それは、自分の目の前で両親が悪魔の生贄にされるという七歳の主にとっては悪夢以上のものだった。
しかし、主はその悪夢を消し去り、我等と見事契約成功出来たわけだが、我を含め七人全員でこの悪夢を消し去るべきと考えそれを消去しようとした。
そこで問題が発生した。
主は人には珍しい魔法の類があまり効かない体質の持ち主で、記憶を消去することは不可能だった。
そのため封印と言う形でその記憶を消すことに成功したのだが、今回の件でどうやらその封印が解けてしまった。
我等も流石に十年間は持つだろうとは予測していたのだが、実際は七年程度でその効力が切れていたようだった。
まさかそんなことにはなるとは思ってもいなかったので十年後に迎えにいくと誓ってた筈なのだが……
「まず主が横になれるところまで運ぶぞ」
「わかってるわよ、で、何で貴方がカイ君を運んでいるの?死にたいの? 」
「〝レヴィアタン〟、お前その状態では運べないだろう…… 」
「あっ、そうだった…… 」
いくら悪魔だからって同年代の格好しているから運ぶの無理だと気付いて欲しい
と思いながら我等は主を上へ運んでいった……
新キャラでてきましたが、
一人はヒロインとなりますが、もう一人は………
決して主人公はBLではありませんのであしからず
感想等よろしくお願いします