序章③~トアルニチジョウ~
とりあえず三話目です
今回はカノン視点です
私は一体何者なのだろうか?
ワカラナイ……
気付けばそこは見知らぬ町、そこは見渡す限りの高い建物が並ぶ場所……
辺りを見渡してもそこには人は一人もいない。
しばらくすると一人の男が私の横を通り過ぎて行った…
その瞬間何故か「コイツを殺さなければ」という意味のわからない欲求に狩られ自らの意思を遮断し、彼を殺そうとした…
そのときは私の心身状態も不安定だったため実力の半分もだせてなかった
そのせいか返り討ちにあい、私は彼の攻撃で自我を取り戻したが、気付いた時には遅く彼は重症の怪我を負っていた。
私は彼を家の中まで運び、彼を治療した。
そしてその時みつけてしまったのだ、
彼の身体に刻まれている"召喚印"を。
彼はどうやら他の悪魔とも契約しているようだった。
しかも低級の悪魔などではない。
相打ち覚悟で挑んでも私でさえも勝てるかわからない、高位の悪魔。
それは一つや二つではない、"七つ"も彼の身体には印が刻まれていた。
これだけ悪魔を使役していて、今生きている方がおかしい。
ただでさえ一体の代償が大きい高位の悪魔を何体も契約しているとなると、一体どれだけのことをしているのだろうか?
普通の人ならば発狂するか、悪魔達に食べられるのに。
彼の意識が戻ったのでとりあえず彼と契約することにした。
理由なんて適当だ。
勿論使役することができないことは嘘ではないけど…
彼から名前をもらい契約は完了した。
これから私の名前は〝桐生カノン〟。
カイ様の剣となり、盾となり、彼を守り続ける〝悪魔〟である。
* *
それは私とカイ様が契約してしばらくのことでした。
私達はカイ様の家の倉庫の整理をしていました。
「カノン~、これを向こうに運んどいてくれ」
「あっはい、わかりました」
私は現在カイ様のお手伝いをしています。
倉庫の中には色々なものがありました。
私に使っていた〝ケンジュウ〟というものやら〝マシンガン〟やら〝グレネード〟など多種多様な武器が置いてありました。
「さて、そろそろ時間だから。一時作業中断して、昼食とるぞ」
「はいっ!!」
カイ様の料理はすごく美味しい。
初めて食べた時はあまりにも美味しく涙が出そうでした。
両親も普段から家にはいないので、自炊が多かったので否が応でも上達したと言っていました。
早く食べたいので私達は倉庫から出て、キッチンの方へ急いで向かった。
今日の昼食は豚の生姜焼きです。
実は私の大好物だったりします。
「ほういえふぁ、ふぁいさまふぁふぁふぇなひんへふか? 」
「とりあえずお前は食べてから話せ… 」
怒られてしまいました…
だってカイ様の食事が美味しいからいけないんですよ。
実際全く関係ないですけどね……
「だから、カイ様は食べないんですか? 」
カイ様はいつも自分の作ったものはあまり食べない。
だからといって何処かで買って食べていると言う光景も見かけない。
「俺は作るだけでだいぶ腹が膨れるんだよ。というよりお前がただ食べすぎなだけだ。大体なんだ、さっきご飯七合くらい炊いていたけど
朝食と昼食だけで無くなるってどういうことだよ! 」
むう、そういわれると困りますね。
いくら豚肉の生姜焼きが美味しいと言っても、ご主人様であるカイ様の家計を圧迫するわけにもいきませんね。
「善処します…… 」
しかし、そこだけは譲れません。
食事が今のところ楽しみの一つですから。
「そこは真面目に返事しろよ……まあいいけど。でもお前変わったな、ここに来た初日と比べると 」
ここにきてまだ三日しかたちませんが自分でも変わったと思っています。
人間らしくなったと思いますね、ホント。
これもカイ様のおかげですね。
「そうですね、有難うございます」
「おいおい、いきなりどうしたそんな藪から棒に。別にお礼を言われる覚えも無いぞ」
やはりカイ様は優しい。
こんな身元不明な〝悪魔〟でも一緒に居てくれる。
対等な関係でいてくれる。
〝必ずカイ様を守り抜く〟そう心に決めた時だった。
* *
昼食も食べ終わり、再び作業を開始した私達でしたが、
カイ様があるものを見つけた。
「この本一体何について書かれているんだ?八ヶ国語をマスターした俺でさえ読めない文字で書かれているなんて……。カノン、これ読めるか? 」
カイ様が私を呼んでいるようですが、
日本語も満足に理解できてないのに他の国の言葉を私が理解できるはずがないと思いますけど
と、思いながらもカイ様が持っている本を見て私は唖然としました。
そこには我々悪魔だけが理解できる独特の文体によってこう書かれていました。
『悪魔召喚の仕方~上級編《七つの大罪》を召喚してみよう~』
え?何コレ…………
感想よろしくお願いします。