序章②~ケイヤク~
第二話です。
少し物語が進みます
多分後三話程度で異世界へ行ける気配がします
感想等よろしくお願いします。
そういえば俺は死んだのだろうか――
先程から妙な浮遊感があり、辺りは真っ白い空間が広がっている――
ここは天国なのだろうか――
それとも地獄なのだろうか――
そんなことはどうでもいい――
ここでよく自称神とか言うものが現れるものだが、
そんなことは実際にはある筈が無くあるのはただ真っ白い空間が広がっているだけ――
すると黒い点が真っ白な空間の中に現れた――
初めは米粒くらい大きさのものが次第に大きくなり、仕舞いには真っ白な空間全体を埋め尽くすまでに大きくなり、
俺はその闇に飲み込まれていった――
* *
俺が目を覚ますとそこは天国や地獄などでは無く自室のベッドの上だった。
起きてみると昨日には肩がザックリと切られ血が流れ出ていたの筈なのだが、痛みも無いので
恐る恐る触ってみるとどうやら傷が完全に塞がっていた。
一体誰が……と、思っていると
「コンコン」とドアをノックする音と共に
「……失礼します」
と言いながら誰かが入ってきた。
確か俺は一人暮らしの筈だよなと思いながら、入って来た人の顔を見て唖然とした。
「またお前か、……どうやらお前とは決着を着けないと行けないらしいな!! 」
そう…居たのは昨日俺に襲い掛かってきた死神(仮)だったのだ。
素早く俺は自分の机の引き出しから自動拳銃を取り出し、構えた。
「…待ってください。今日は戦いに来た訳じゃないから、〝ソレ〟を降ろして下さい」
よくみると彼女は昨日のような禍々しいオーラを纏っておらず、武器であろう鎌も持っていなかった。
しかし、安心はできないので銃はいつでも撃てるようにセーフティーレバーを降ろして弾を装填した。
「とりあえずまだ信用は出来ないからこれを降ろさなくてもいいなら話を聞こう」
我ながら随分甘くなったなと、自嘲的に心の中で笑う。
今までの俺なら迷わず撃っていただろう。
しかし、この状況から見て俺の傷を治してくれたのは彼女らしいのでそこは自重する。
「…はい、それでいいです。まず貴方にお礼を言わせてください、私を正気に戻してくれて有難うございます」
「は? 正気に戻してくれて有難うってどういう事だ? 」
「詳しく話すと長くなるけど時間大丈夫ですか?確か今日は〝学校〟と言うものがあった筈ですが…… 」
「ああ、学校なら別に行かなくてもいい。どうせ行っても行かなくてもあまり変わらないし」
俺が通っている高校は所謂普通の私立高校という奴なのだが金さえ納めればそれでいいという適当な学校で、
あまり行っていない。
よって、学校に友達なんてものは一人もいない。
どうやら俺からは〝近寄るなよオーラ〟と言うものが滲み出ていると俺の親友は語っていた事があった。
そういえば最近会ってないな……
"アイツ等"まだ生きてるかな~?
「ならいいです…。まず私のことについて説明します。私は貴方のご想像の通りに"人間"ではなくて世間一般的に〝悪魔〟と呼ばれる類の者です」
あれ?〝死神〟じゃなくて〝悪魔〟?
だって真っ黒な服着て真っ黒な鎌持って明らかに死神だよね?
何?この悲しい感じ……そう、例えるならロトシ○クスで最後の番号だけが外れたようなこの感じ
「…嘘だろ?そんな事があってたまるか!!何その『騙して悪いな』的なものはよ!! 」
「一応落ち着いてください。貴方が想像している死神と言うのは〝鎌を持った黒い鎌を持った人〟の事を指しているんですか?…そう思ってるなら一度死神と言う定義について説明しましょう。
そもそも死神と一般的に呼ばれるもの達は普通は鎌も持ちませんし、某少年誌の如く『○解!!』とかしません。彼等は形すら無い只の空気です。そこら中に散らばっていて、ただ死人の魂を回収する、
それが彼等の正体であり、存在意義でもあります」
はい?
えっと空気ってことは俺が今現在いるこの場にも死神は存在していると言うことか……。
あー、今日から俺寝られないかもwww
まさかこんなエグイ真実だったとは思って無かったよ、マジで……。
そして微妙にボケを入れるのはやめて欲しい、こちらもリアクションが取りずらいから。
「あー、もういいや。とりあえず死神と言うことについてはもういいから次は其方のことについての紹介をぷりーず」
「そうですね。とりあえず自己紹介として私は世間一般的言うと〝悪魔〟と言う部類に入るのですが… 」
そこで口を濁す〝死神っぽい悪魔的な少女〟
「何だよ、続きが気になるから早く言えよ。どうせ〝ソロモン何とか柱の一人〟とか言うんだろ。言っとくけどその程度じゃ驚かないぞ、俺は」
悪魔召喚術やら謎のカルト集団やら怪しいニュースが飛び交っている中で今更悪魔が出たって不思議じゃない。
寧ろ今まで見つからなかった事が奇跡に等しいのだ。
「私は貴方の言う物にもどの書物の中に記されている悪魔にも記されていません。所謂、〝イレギュラーな悪魔〟という存在です。どのような道具を以ってしても私を拘束することが出来ず、
使役など持っての他です」
あれ?ならば疑問が生まれる。
「じゃあ何故さっき『私を正気に戻してくれてありがとう』って言ったんだ? 」
率直な感想を口にして見る。
これはさっきから気になっていたことだ。
『拘束できない=操れない』ということだから〝正気に戻す〟ということは矛盾している。
「私はあの時はまだ此方に来てからの時間も浅く、まだ感情などが不安定だったのが原因だったと思われます」
「じゃあ、何故俺を助けた?あの時別に放置して去ればよかったんじゃないのか? 」
「それは……、話を少し戻します。イレギュラーと言われた私ですが、唯一契約が出来る方法があったんです」
あれ?契約する方法があったのかよ!!と心の中でツッコミを入れながら話の続きを聞いた。
「で、それは一体何だ? 」
多少、というか凄く嫌な気配がするが彼女は言葉を続けた。
「〝私を戦闘不能にすること〟それが私と契約するための手段です。しかし、私の力は並大抵の悪魔などとは天と地ほどの差があり、圧倒的に此方が有利です。
つまり、貴方は凄く良いタイミングで私と出会ったと言う事ですね♪ 」
語尾に音符マークが着きそうなくらいのテンションですさまじいことを言い放ちやがったぞ、コノヤロウ。
つまり、あれか?これは死亡フラグなのか?
変な奴と契約する
↓
何か戦いに巻き込まれる
↓
何故か死ぬ
あ、俺オワッタカモ……
「えと、大丈夫ですか、ゴシュジン様? 」
「何故にカタカナ表記?それよりご主人様付けはヤメレ。全身が痒くなる、というより背筋が凍る。とりあえずおれには桐生魁という名前がある、だからとりあえず俺のことは"カイ"と呼べ 」
いくらコイツが可愛い、もとい綺麗だと言っても昨日殺されかけた奴と一つ同じ屋根の下で暮らすなんてまっぴらごめんだ。
しかし、『命の危険』と『美少女との一時的な幸福ライフ』どちらかを選ぶか天秤にかけるが、優先順位は決まっている。
「はい、わかりました。それでは〝カイ様〟と呼ばせてもらいます 」
先程の質問の答えはどちらがいいかと言われると
……勿論そりゃあひと時の幸福に決まっているだろう!!
だってあれだよ、美少女から様付けで呼ばれるんだよ!幾ら金をつんでも叶わない夢が今叶うんだよ!
一時的でも長年の夢が叶うんだよ!!
とりあえす、コイツとこれからの生活………プライスレスwww
「……まあいい。とりあえずお前と契約してやるが、名前は何て言うんだ? 」
「…名前ですか?そんなものは私にはありません、もとより私は名前を持たない〝イレギュラー〟ですから…… 」
急に悲しそうな顔をしたり、嬉しそうな顔をしたりホントに"人間"みたいだなコイツは
「よし!!なら俺が名前をつけるけど、いいか? 」
「勿論かまいません 」
それじゃあ何にしようかな?
ここでテンプレとしては何らかのゲーム等からの引用が一番手っ取り早いが、
最近俺も全くゲームしてないしな~
記憶に新しい奴の中から選ぶとするか…
―――思考中
その時ふと俺の頭の中をある単語が過ぎった。
「よしっ!!決まったぞ!!お前の名前は今日から〝桐生カノン〟だ!!! 」
こうして俺と〝カノン〟の同居生活は始まった。
とりあえず書き終えました。
今回で一人目のヒロインが登場しました。
カノンの顔が想像しにくい場合は某生徒会室だけで成り立っているラノベの常時鞭持っている人の顔と思って下さい。
主人公の顔は……そこは脳内で変換してくださいww
たぶん次回の投稿は明日くらいには出来るのでないかと思います。