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地上の困難

作者: エチュード

 以前から言われていることだけれど、どうも気候がおかしい。温暖化の影響もあるのだろうが、私の住んでいる地域では今年は特にいつもと違う。

 何が違うかというと、まず梅雨が殆どなかった。梅雨入りの発表後少しは雨も降ったが、まだまだこれからだろうと覚悟を決めた矢先に、梅雨明けが発表された。例年よりかなり早かったようだ。洗濯物が乾かないと心配していたのに拍子抜けだった。洗濯物の心配がなくなったのは良いが、後々水不足で困るなどという状況になるのではないかと、今度はそちらが気になる。

 また、例年なら梅雨が明けた途端に蝉の声が喧しくなり、その声によって本格的な夏の訪れを感じるとともに、これから始まる暑さに対する心構えを自覚させられるのだが、今年はまだ蝉が鳴かずこれもおかしい。梅雨が明けてから既に二週間以上経っているのに。もしかしてあまりに早く梅雨明けしたから、蝉の方で準備ができていなかったのだろうか。蝉の幼虫は地中で成長するらしいので、そんなに都合よく地上の変化に合わせられないのかも知れない。

 セミは鳴かないにしても、梅雨は明けているのでとにかく毎日暑い。でも、その暑さも例年とは少し違って蒸し暑い。BGMに蝉の鳴き声がある暑さというのは、もっとカラッとしていたような気がするのだ。

 ところで、暑い時期に外で作業などをする職業の人達は大変だと思うが、最近作業ではない別の仕事の人のことも心配になる。それは着ぐるみ姿でキャラクターに扮して踊ったりする人達だ。いつだったか、暑さの為に亡くなった人がニュースになった。あれ以来、着ぐるみ姿の人をテレビなどで見るだけでも、暑いだろうという気持ちが先に立ってしまう。少しずつ対策も講じられてはいるようだが。

 それで思い出したのだが、かなり以前にデパートでアルバイトをしたことがあった。普段はパソコン作業をしていて、催事やイベントの際には駆り出されて、各地の名産品の販売なども手伝っていた。五月の連休中には、戦隊ヒーローショーを屋上でやることになり、その手伝いをすることになった。当日は天気も良く、子供連れで大賑わいだった。ショーが終わると、助っ人の私は控室に居る出演者に、冷たい飲み物を持って行くように言われた。それで、用意された飲み物を持って向かったのだが、部屋の前まで来てびっくりした。ドアが開け放たれていて、中に居る人が丸見えだったのだ。それだけでは驚かないのだが、ヒーローと悪役が数名、全員男性でしかも皆半裸状態になっていた。こちらとしては一瞬目のやり場に困ったが、びっくりしている私に気づいて、慌ててタオルで身体を覆う人も居た。当人達はその恰好でもとても暑そうにしていた。その時期にエアコンが入っていたかどうかは定かではないが、扇風機はあった筈でドアも開けたままだった。それでも、見ているだけで暑さが伝わってきた。

 実は、控室となっている部屋へ向かっている途中は、先程見たショーの姿のままの人達が居ると思っていたのだ。顔や頭に被っているものくらいは脱いでいるだろうが、黒ずくめの衣装はそのままだろうと。でも、そうではなかった。あれはまだ五月だったのに、あの衣装で激しい動きをすると、あれだけ暑く感じるのだとその時初めて気が付いた。

 思うに、着ぐるみ姿のキャラクターの暑さはどんなだろう。温暖化は確実に進んでいると思われる昨今、しかも夏の日向で踊るなんて、五月の戦隊ヒーローショーの比ではない筈だ。私が心配することでもないかも知れないし、また心配したところで何の役にも立たないけれど、子供達に夢を与える仕事だけに、できるだけ苦痛のない環境で活動してもらえたら良いのにと切に思う。

 また、年々厳しくなる暑さには、対症療法的に凌ぐ事しか考えられていないが、各国が足並みをそろえて、もっと根本の問題に本格的に取り組めたらと思う。でも、どの国も関税騒ぎでそれどころではない。


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